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受験対策講座

保育士・筆記試験の合格率は20%前後で難関といえます。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率のいい学習が不可欠です。このコーナーでは、近年の各科目の出題傾向や今後の対策について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

2024年4月試験に向けた講座がスタートしました!

第2回 「保育原理」科目について

河合英子(かわい えいこ)
保育士。東京都内認可保育所元園長。学校法人三幸学園大宮こども専門学校専任講師。
保育士試験対策のアカデミー元講師。さくらlaboを主宰し、保育所保育指針の勉強会を開催している(現在コロナ禍のため休止中)。

「保育原理」を学ぶ意義(大切さ)

 保育原理という科目は、これから先、保育の現場で働く方たちにとっては、生涯心の支えとなる科目です。今は受験に向けての受験科目としかとらえられないかもしれません。でも実は、この「保育原理」なくして保育業務を行うのは大変難しいことなのです。現場で困った時、迷った時にはこの科目で学んだことが、必ず役に立ちます!

 保育原理は、保育の歴史から始まり、関係法令、及び現代社会の保育の課題等について、国内外の保育事情、そして保育所保育指針(以下、保育指針)から日本の保育の在り方を学びます。保育指針は、受験の時は誰もが「これ全部読むの?」「めんどくさい」と思うようです。しかし、合格して現場に出て、クラス担任になり、経験を重ねてくると、「保育指針って奥深い」「保育指針って感動するよね」、また「保育指針ってすごいよね」という声を聞きます。それはやはりこの「保育原理」という科目が保育の根幹をなす科目であり、保育所保育指針は本来の保育のあるべき姿を現しているからだと思います。

 ぜひその面白さ、奥深さをはやく感じていただきたいと思います。

「保育原理」の近年の出題傾向

 令和2年後期の試験から以前に比べて「保育所保育指針」の出題がかなり多くなっています。令和2年は20問のうち13問が、令和3年は20問のうち15問が保育指針から出題されています。そしてこれまでは、適切な語句をいれる穴埋め問題が多く、正確に文言を覚えることが求められていましたが、最近は保育指針に通底する「考え方」が問われるようになってきています。

 また以前は、第1章の保育所の役割、目標、保育の方法、保育の環境、社会的責任からの出題は必ずありましたが、令和2年度は、指導計画作成時の配慮事項や育みたい資質・能力について、そして第2章の保育の内容等、現場で行われる「保育内容」についての出題が多くありました。障害児保育についての配慮も第1章3保育の計画及び評価にありますので、確認しておきましょう。

 令和3年前期試験でも第1章の保育の計画及び評価(2)指導計画の作成にある配慮点や第2章4保育の実施に関して留意すべき事項(2)小学校との連携(3)家庭及び地域社会との連携から出題されています。

 「乳児保育」「1歳以上3歳未満児の保育」「3歳以上児の保育」について、その「ねらい及び内容」についての問いは、近年、毎回出題されています。比較しながら覚えておくと対応できます。『わかる!受かる!保育士試験合格テキスト2022』(中央法規)にねらいの一覧表を掲載していますので、ご活用ください。通底する考え方については、保育所保育指針解説(厚生労働省、2018)に書かれています。目を通しておくとよいでしょう。

 保育に関する法令や制度については、保育所の根拠法である「児童福祉法」、実際の運営の根拠となる「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」、その他人権に関する条約等を年代順に、保育の歴史や思想家等を、テキストを利用して覚えましょう。試験の最後の20問目に「現状と課題」として資料(表やグラフ等)の読取りが出題されています。ここは落ち着いて、読みとることが大切です。

 

合格に向けて

 保育指針を「丸暗記」という受験勉強型から、実際に即戦力として現場に活かすことができるよう「通底する考え方の理解」へと、令和に入ってから、それまでの出題傾向とはかなり変わってきています。暗記一辺倒ではなく、自らの力として身に付けていくことが必要だからです。

 まず、億劫がらずに一度全文を読んでみることをおすすめします。実は難しいことは何もなく、当たり前のことばかりが書かれているということに気づくでしょう。
 また、覚えておくべき重要語句は、『わかる!受かる!保育士試験合格テキスト2022』の中で赤文字にしていますので、ぜひ付録の赤シートで力試しをしてみてください。

 次に、関係法令ですが、中でも「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」は、勉強しておきましょう。同基準第5章が「保育所」についてです。33条から36条が、よく出題されていますので、覚えておきましょう。

 思想家については、以前はとてもマニアックな出題もあり、たくさんの人物とその思想を広く浅く覚えなければならず、皆さんとても苦労をしていました。受験テキストにも、たくさんの思想家が掲載されていましたし、「教育原理」で勉強する思想家と同じ人なのに見方が違っていて、わかりにくく覚えにくいとの声がありました。最近は基本的な思想家についての出題が続いていますので、余裕があれば知識の引き出しが増えていいのですが・・・いま勉強しているそれ以上、焦ってむやみに広げないことをおすすめします。

 出題傾向は年々変わってきていますので、テキストは新しいもので学ばれることをおすすめします。歴史上の人物や関係法令等覚えることに変化のない事柄もありますが、より効率的に学ぶためには頻出問題や傾向を知る必要があります。
 毎日、けあサポの一問一答をコツコツとこなしながら、的を絞ってがんばりましょう!
 保育の仕事は、とても楽しくやりがいのある仕事です。皆さんの合格を祈っています!!

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