連携の地ならし
先週の土曜・日曜日は名古屋でした。日本福祉大学主催の第5回ケアマネジメント研究セミナーです。
今回のテーマは「連携」。多職種協働も私のお気に入りの言葉ですが、ここ数年、「連携」はケアマネジメントの世界ではことさら語られるようになってきて、うれしい限りです。7年前に初めて書いた『地域支援コーディネートマニュアル』(法研)で、連携について次のようなことを書きました。
「『れんけい』には、連係と連携があります。連係は連係プレーという動作を表した用語で、自軍や自らの組織内でのスムーズなやりとりを表しています。連携は、携える(たずさえる)の漢字が使われているように、他の組織がある目的・目標に向かって手を携える意で、それぞれの独立性と自主性が前提です。近い意味で提携があります。」
漢字はこのように分解すると、「うまくできている」と、いつも思いますね(^_^;)。
でも「れんけい」には、実はもうひとつあります。それが「連繋」です。常用漢字外なので滅多に使われませんが、まさしく「繋がる(つながる)」文字ですから、「つらなる・つながる」を表わすので、長い長い「人間の鎖」的なイメージが広がりますね。
さてさて…セミナーの話題です。
初日は「虐待防止」をベースに連携を考える講演とシンポジウムです。基調講演を副田あけみ首都大学東京教授が約1時間されたあとに、副田教授と土屋幸巳さん(静岡県富士宮市地域包括支援センター)、そして私が、平野隆之日本福祉大学教授のコーディネートのもとにシンポジウムを行いました。
私は「連携するための目線合わせ」をテーマに、虐待防止の講演の中味の舞台裏をお見せして、どのようにリレーション(合意形成)を図ろうとしているのか、どうしてここでこのようなシートを見せるのかなど、聴く人の理解のプロセスにも解説を加えて、約40分間話しました。
これを「地ならし」という表現としたのも、連携する組織と人が対等に「平場」で話す、膝をつめあわせた車座で話すためには、それぞれの組織や地元の意識にある「障害」(バリア)を取り除く必要があると考えるからです。
意識の違いは「誤解」を生みやすくなります。しかし「共通言語」は、お互いの理解を促進します。そのための作業として私は、「地ならし」を意識した話しぶりをします。
このことは、翌日のC分科会「交渉力と交渉術」での午前中の講義で話す内容につながりました。
交渉をする目的。それは両者に「ズレ」があるからです。ズレを埋め合わせるために、調整をつける、折り合いをつける、妥協する、受け入れるなどの交渉事を行います。ではズレはどうして生まれるか? その原因にはおおよそ3つあるといわれます。
・認識・解釈のズレ
・感情のズレ
・意思疎通のズレ
この分科会でお話ししたのは、各自の利害や立場で交渉するのでなく、「共通の利害で交渉する」「意見でなく行動で一致する」などが交渉のポイントと解説しました。
さらに、交渉の話し合いの勘所として「人と問題を分ける、事実と主観(解釈)をわける、多様な選択肢を考える」などなどを紹介し、その後、ゴミステーションをどこにする? をテーマにしたワークショップをしました。
午後は、上原久さん(地域活動支援センター ソーシャルワーカー)が「ケア会議の技術」をテーマに話され、それを受けて、具体的なファシリテーションの進め方を話しました。
加者の皆さんからは「具体的なノウハウがわかった」「とても実践的で使いこなしたい」という感想をいただきました!(^^)!
次回は1年後です。読者のみなさん、ぜひ名古屋・鶴舞の地においで下さい<(_ _)>。
ムロさんの写メ日記
12月5日、第5会ケアマネジメント研究セミナーのシンポジウム風景です。向かって左から、副田あけみ先生、平野隆之先生、土屋幸巳さん、そしてちょっと目をつむって考え込む(笑)私です
以前からぜひお会いしたいと思っていた土屋幸巳さん(富士宮市地域包括支援センター 社会福祉士)とのツーショット。なんと同い歳なんですねぇ
12月7日、愛知県第二尾張荘の職員研修会のために同施設を訪れると、なんと玄関に「移動理美容車」!。愛知県に2事業者しかなく、1日に40~60人近くをこなすそうです
「毎月カットされる方もいるほどみなさんオシャレです」とのこと。車いすでのカット風景です。とても気持ちよさそうでした
岐阜県主任介護支援専門員「事例検討会」(3日間)の演習風景です。立っているのは観察者です
発言する第1グループの野村尚子さん(大垣市)です
第6グループは笑顔が素敵ですねぇ。向かって左から加藤立子さん(土岐市)、中央が三谷俊宏さん(北方町)、そして中谷早苗さん(可児市)です。加藤さん、ちょっとボケちゃってすみません<(_ _)>
秋田県男鹿半島の特養でがんばる佐藤哲彦施設長です。私の知恵袋で、今回のメルマガコラムで利用者さんの意向を「秋田弁で書く」ために、翻訳してくれました。ネイティブな秋田弁はとても味わい深いものがあります。詳細はケアタウン総合研究所のサイトに飛んでみてください
今週のメールマガジン「元気いっぱい」第205号は「方言で書く」です。ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。
コメント
岐阜県主任介護支援専門員研修の講義、お疲れ様でした。事例演習はまさに「千本ノック」、参加されている受講生の皆さんも白熱し、また活き活きとした表情でしたね。
研修の裏方としては、後方から見学するだけなので、ちょっと淋しく、また、事例演習に参加できる受講生さんたちがうらやましく思えた3日間でした。
まだ主任介護支援専門員研修は終わっておりませんが、今は実務研修の準備に大忙し。先生からもらったパワーを糧に乗り切りたいと思います。
先生の岐阜県主任介護支援専門員研修にて先生の5日間のご講義を受けたケアマネージャーです。
今思うと、実践で役立つことばかりで、先生のご講義は、本当に自分のためになりました。
ただ、ファシリテーション技術につきましては、私はそうゆうことが至って苦手な方で、最後の2日間本当に早く終わってほしいと願うばかりでした。
実際、あがってしまって司会が上手くできず、かなり凹んで帰ってきたのですが、帰ってから、ふと“だったら見ながら司会ができる台本つくっちゃえばいいじゃん!!”とひらめき、〔A4〕1枚に会議の流れと内容、注意事項などを書き込んだ私なりの台本を作成しました。
そうしましたら、先生のご講義の内容をきちんと頭の中で整理できたと共に、今度はきっと上手くできるという自身が沸いてきました。!(^^)!
今後、一緒に講義を受けた仲間とともに、今までなかなか行えなかった事例検討会や研修会をできれば定期的に開催して行きたいと思います。
本当にありがとうございました。
研修の裏方さんと丹羽さんへ
感想メール、ありがとうございます。
めるくめく?の5日間でしたね。
とくに後半の3日間はとりわけ心の汗?をかくほどに大変だったと思います。
なにせ「千本ノック」ですから(笑)。
根性主義ではありませんが、「型を身につける」ための3日間。
事例検討会は「全員が創る・全員で創る」わけですから、進行役・進行補助・参加者・観察者を何役も体験していただくことで、かなりみなさんも基本スタイルが身についたと思います。
丹羽さんの「気づき」と行動(台本づくり)はとてもうれしい報告です!(^^)!
まずは自分の力量を自分で評価して、自分なりに工夫することから始めることはとても大切なこと。
ぜひ結果をまたブログに書き込んだり、ケアタウン総合研究所のサイトからメール下さい。
またお会いしましょう!
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