「今、知りたい」疑問をQ&Aで解決!
「新薬の効果は?」「社会的入院者の退院促進はどうなってる?」「障害者総合支援法ができたけど…」「保護者制度が廃止になった?」などなど、近年、めまぐるしく動いている“こころの病”をめぐる疑問は、尽きないのではないでしょうか?
本書は、そのようにさまざまに変化がある精神保健医療福祉の現在の状況などについて、できるだけわかりやすく知りたいと考えた、こころの病のある当事者を抱える家族の集まりである「家族会」の思いからスタートしました。
東京都小平市にある国立精神・神経医療研究センター病院の家族会である「むさしの会」は、今年で設立15年目を迎えますが、これまでにも、こころの病に関する講演会の主催や会報・書籍の発行等、精力的に活動をしてきました。そのようななか、「今、知りたい」ことを改めて一冊にまとめたいとしてスタートしたのが本書です。
そこで「むさしの会」では、こころの病のある当事者と会員の家族にアンケートを取りましたが、そこには本当にさまざまな疑問が寄せられました。そして、むさしの会・編者・出版社の間で何回にもわたって打ち合わせを重ね、最終的に100項目のQに絞りました。疾患に関する基本的な知識から治療や再発に関すること、地域生活を送るために必要な心構えや制度・サービスの利用方法などまで、幅広い領域をできるだけカバーすべく、Qを設定しました。しかし、本をつくっていくなかでも、精神保健福祉法の改正など、まさに重要なことが動いていくので、その動向を追い続けながらの制作となりました。
回答は、国立精神・神経医療研究センター病院の医師や精神保健福祉士のほか、センター周辺の地域支援関係者等からも全面的な協力をいただき、それぞれの実践などを踏まえ、平易でわかりやすい原稿を寄せていただきました。忙しい臨床を抱えるなか、また、まさに動いている施策等を追いながらの作業であったため、執筆者には大変なご苦労をいただきましたが、家族会の思いに応えたいということで打ち込んでいただき、完成に至った次第です。
また本書には、当事者・家族の手記を適宜挿入しています。手記を読んでいただくことで、当事者・家族の方であれば、「一人ではない。仲間がいるのだ」という思いをもち、少し気持ちも楽になるのではないかと思います。また、支援者であれば、当事者たちのさまざまな状況を理解することができます。
見開きでわかりやすく解説をしていますので、当事者・家族の方々が読みやすいのはもちろん、当事者たちが「今、知りたい」と思っている内容が詰まっているということは、病棟や相談室などで、各専門職等がよく相談を受ける内容について解説しているということでもあります。本書を読むことで専門職の方々が、よりよい支援に活かしてもらえると考えています。
(中央法規出版 第1編集部 塚田 太郎)