人生の本質を見つめ直す珠玉の詩画集
「連載のスタートから20年。そろそろ1冊にまとめた詩画集をつくってみたい」。
2017年某日―-それは私が担当している雑誌『おはよう21』の連載「Life is……」について、いつものカフェで葉祥明さんと打ち合わせをしているときのことでした。
たしかに、絵や詩のストックは十分ありましたが、葉さんは画業45年。多くの詩画集がすでに刊行されており、単にまとめるだけでは今までの本を手にしてきたファンにとって「代わり映えしない」と感じるものになってしまいます。コンセプトを決めるまでに苦労しそう、そんな予感がありました。
打ち合わせを続けること、数か月。葉さんは「いつになったら刊行となるのだろう…」と感じていたことと思います。
そんなある日のこと、葉さんの絵本『イルカの星』を原作とした作品がプラネタリウムで上映され、声優の細谷佳正さんがナレーションを務めていたことを知りました。「これだ!」と直感的に思った私は、葉さんへ提案すると同時に、細谷さんへも提案。葉さんや細谷さんをはじめ、制作に携わった皆さんに「面白い、やりましょう!」と受け入れてもらえたときはとても嬉しかったです。
そして迎えた朗読収録当日。同日に動画撮影を行った対談では、葉さんからは「(細谷さんは)甥っ子みたい」、細谷さんからは「(葉さんは)写真のイメージと違ってファンキーなおじいちゃん」と、お互いに初対面ながらも意気投合した様子が印象的でした。当初は緊張していた私も、そんなお二人の様子に和み、楽しく収録を終えることができました。
そんな経緯を経ながら、2018年8月末、私の思い付きに乗ってくださった皆さんの協力のもと、ついに本書が出来上がりました。紆余曲折はあったものの、単なる詩画集に留まらない、面白い試みが満載の1冊に仕上げることができたと感じています。
また制作にあたっては、スマートフォンで気軽に朗読を楽しめるようARアプリを利用したり、葉さんと細谷さんによる対談動画を公開したりと、「詩画集は手を出しにくい」と感じている方でも手に取っていただきやすいように趣向を凝らしてきました。
忙しい毎日を送るなかでも、ほんの一瞬気を休め、心安らぐ時間を過ごすことで、これまで見えていた景色が一変するはずです。ぜひ手に取って葉さんの世界にふれてみてください。
ちなみに、本書の最新情報はTwitter(@Lifeis_chuohoki)でも発信中です。併せて、よろしくお願いいたします。
(第1編集部編集第4課 渡邉 拓也)