利用者へのより良い支援をするための自身の「心の整え方」
著書を愛読していて抱いていた“いつの日か久田先生と一緒に仕事がしたい!”という思いを実現することができた前書『福祉リーダーの強化書―どうすればぶれない上司・先輩になれるか―』。製作しているときは、終始、高揚感に包まれながら編集作業を行っていたように思います。今でも楽しみながら仕事をしていた記憶がよみがえってきます。
久田先生の著書はどれもが、福祉の業界に直接は身を置いていない私にとっても、自分事として受け止められる心に響く内容になっています。“1つの書籍で久田先生とのお仕事を終わらせたくない!”という思いが徐々に強くなったのでしょうか。書籍の製作と併行して、次に取り上げるべきテーマや関心のある話題、アイデア等、適宜やりとりを重ねました。
「福祉職の皆さんは“自分が少し無理をしさえすればいい”と考えてしまいがちだ」というやりとりに端を発して、具体的に書籍のテーマを検討していきました。そして、「支援者自身の状態が安定していなければ利用者へのより良い支援はできない」というスタンスに立ち、そのための心構えや取り組むべき姿勢を説く福祉職員に向けた「心の整え方」をコンセプトとしたのです。
確かに、自分がこれまで出会った福祉職の方々も、頑張りすぎてしまう方が多い印象がありました。福祉職の皆さんがネガティブな感情に支配されず、穏やかな気持ちで日々利用者と接することはとても大切です。無理をして疲弊してしまうことのないよう感情をコントロールできるコツを知る意義は大きく、「心の整え方」についてまとめる“セルフマネジメント”をテーマとした書籍は、久田先生が次に著す内容として面白いと感じました。
久田先生には「新しい著書が刊行したら是非購入したい!」と考えてくださるファンが多くいらっしゃいます。また、“メンタルマネジメント”“セルフケア”は売れ筋のテーマともいえ、新たな読者層の獲得も見込めるのではないかとも考えました。
「自分を奮い立たせてくれる」「初心に返らせてくれる」「ボロボロになるまで読み返したくなる本です」等々、既刊書では久田節ともいえる辛口な書きぶりに心を揺り動かされた読者の方々の声が多数寄せられています。ただ今回のテーマは、包み込むような温かい書きぶりがよいと思い、久田先生にはこれまでと異なる文体で著していただきました。
加えて、久田先生は今回も魅力的なアイデアを豊富に出してくださいました。どのような内容にするのか、構成や展開はどんな形が好ましいか、読み手の方が自分に向けられたメッセージと感じるよう適宜チェックリストを収載しよう等々、書籍を企画・編集する醍醐味ともいえる著者とやりとりを重ねてゼロから作り上げていくプロセスは、とても有意義で贅沢な時間でした。
「心の整え方」をテーマとした本書は、入職間もない新人職員や、仕事の全体像がみえてきた中堅職員、マネジメントをする立場のベテラン職員に至るまで、どのポジション、どの職種の方が読んでも、久田先生からのメッセージを“自分に向けられたもの”として感じることができると思います。是非、お手に取っていただけたらと思います。
(第2編集部 米澤 昇)