24Hシートを活用しきれていない施設・事業所に
本書は、高齢者施設におけるアセスメントツールである「24H(じかん)シート」を効果的に活用するための事例集です。
2013年4月、24Hシートを作成・利用するためのガイドブック『高齢者施設を変える ユニットケアのアセスメントツール 24Hシートの作り方・使い方』(以下、『24Hシート』)を発行しました。これは、一般社団法人日本ユニットケア推進センターが、現場の高齢者施設の職員とともに、これまでの排泄、食事、排泄といった、生活行為別のアセスメントではできなかった「利用者の思いに対するサポート」を実践するために試行錯誤し、産み出したものです。特徴として、入居者の24時間を時間軸として、意向・好み、自分でできる事、サポートの必要な事、備考という欄を設けることで、各職員がすべきサポートが明確化になる(可視化)ことが挙げられます。
しかしながら、24Hシートを新たに活用し始めた施設から話を聞いてみると、「シートを埋めることが目的になってしまい、活用できていない」という声が多く聞かれました。そこで、先行して24Hシートを活用している施設の実践を紹介する事例集があれば、自分の施設や入居者と照らし合わせて、どこが問題なのか、何を改善すればよいのかがわかるのではないかと考えました。
事例については、現場でよく聞かれる、BPSDへの対応や重度の人、意向のない人、終末期の人などへのかかわりから、シフトや物品管理、教育体制への活用と、施設全体を改善する実践を数多く収載しました。
執筆は主に、現場の職員の方々にお願いしましたが、その施設の特徴が出すぎると、読者の方々の参考になりにくいため、平準化に多くの時間をかけました。また、編集業務では、より良いものにしようと、最後の最後まで監修元の赤字が入り、デザイナーや印刷会社には無理をお願いしたものです。
入居施設だけでなく、療養型病床や介護老人保健施設、グループホーム、デイサービスの事例も収載し、幅広い活用を提案していますので、高齢者介護に携わるすべての方々に参考となる1冊と自負しています。
(中央法規出版 第1編集部 平林 敦史)
追伸
去る2月21日、監修元の日本ユニットケア推進センター主催「ユニットケア研修フォーラム2014」が神奈川・横浜のパシフィコ横浜で開催され、本書がお披露目・発売されました。販売ブースには参加者が殺到し、同書のニーズの高さを改めて確認しました。