認知症ケアの当たり前=世間の非常識
2015年3月10日
「その人らしさ」って、何ですか?
利用者と家族、どちらの立場に立ってケアをすればいいですか?
徘徊を防ぐ対策としては、鍵をかけるしかないでしょうか?
認知症ケアに携わる方からのそのような疑問・悩みに、認知症ケアの第1人者である和田行男さんと数々の高齢者施設を取材してきたNHKプロデューサーの小宮英美さんが、時に厳しく、時に温かく答えます。
お悩みに関するアンサーとそのテーマについて2人で対談を繰り広げ、認知症ケアの現場では当たり前とされている概念や支援を問い直します。
特に読んでいただきたいのが「徘徊・行方不明」です。認知症の行方不明者は1万人とも報道され、昨今大きな話題になっています。トラブルを避けるため、施錠をして、認知症の人たちを施設の中に閉じこめる手立てを講じている施設は数多くあります。本書では、そのような「行方不明者を生まないように施錠をする」という考え方に一石を投じます。「鍵をかけて閉じこめる前に、その人にとって施設に留まる意味や目的を実感できるようにするのが専門職の仕事である」と和田さん。本書を読み、専門職の仕事を見直すきっかけにしていただければと思います。
カバーと本文イラストは、現役介護職の梅熊大介さんに描いていただきました。特にカバーイラストは、実際の対談の様子そのものです。
認知症ケアに携わるすべての方に読んでいただきたい1冊です。
(中央法規出版 第1編集部 堀越良子)