保育所等の子ども家庭支援の実態と展望
内容紹介
令和3年12月20日に厚生労働省より出された「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会 取りまとめ」では、少子化社会の進展や地域社会の希薄化等により、今後は保育所および保育士等について子育て支援機能の充実が叫ばれています。
本書は、さまざまな事情をもつ家庭に対し、保育所等がどのような支援ができるのかを、先駆的な取り組みをもとに論じています。現場の保育所等では、保護者支援・子育て支援の難しさを実感しているかと思いますが、早期発見・早期支援をテーマに、関係機関との連携、地域貢献支援員の登用、地域貢献事業の推進などからは、保育所の新たな役割の姿が浮かび上がります。
編集者から読者へのメッセージ
前述の取りまとめでは、今後の保育所の役割として子育て支援が随所で協調されています。裏を返せば、入園した園児だけでは園運営が成立しないということです。
これは首都圏も例外ではなく、最近は定員割れとなる園が多いと聞きます。保育所等を地域のハブとして機能させるためには、園の強みを伸ばし、地域にアピールしていくことが大切です。
コロナ禍の折、地域と交流を図るのは容易ではありませんが、本書ではさまざまな知恵・アイデアを提供しています。「うちの園は園児も集まっているし、大丈夫」と考えず、自分事として今後の保育所のあり方を考えてみてはいかがでしょうか。
主な目次
Introduction 保育所等における子ども家庭支援と生活困窮者支援
Chapter1 保育所等における子ども家庭支援の変遷
Chapter2 求められる組織的対応――保育ソーシャルワークと生活困難に関する文献レビューから
Chapter3 保護者の相談のしやすさと組織運営
Chapter4 発達障害の可能性がある子どもの保護者への支援と保育所等組織の役割
Chapter5 保育所等における子ども家庭支援の実際
Chapter6 保育者業務の一環としての「子育て支援」の専門性の位置づけと教育・研修の現状
Conclusion これからの保育所等における子ども家庭支援に向けて
著者情報
中谷奈津子(神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授)
鶴宏史(武庫川女子大学教育学部准教授)
関川芳孝(大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科教授)
木曽陽子(大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科准教授)
吉田直哉(大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科准教授)
*肩書きは発刊当時のものです。