看護判断のための気づきとアセスメント 小児看護
内容紹介
看護師として何をみる?何に気づく?
看護過程はまず情報収集・整理からはじまります。これがうまくいかないと的外れの看護計画になりかねません。記録類から得られる情報の解釈はもちろん,実際に対象者を見て看護ニーズに気づくことが必要です。加えて,子どもには特有のコミュニケーションや見方があり。エキスパートナースはそうしたノウハウを持っています。本書では,これらをまとめてアセスメントのための知識とノウハウを解説しています。小児看護学実習の参考書として最適です。
子どもを知るには親を知ること
子どもは,保護者など家族との関係を抜きにして知ることはできません。本書では,家族とのコミュニケーションの取り方や,家族が子どもに及ぼす影響についても触れています。
子どもに特有な症状や疾患を取り上げ上げました
発熱一つとっても成人と子どもでは見方が異なり,フィジカルアセスメントも必要です。子どもに特有な,看護学生や若手看護師が接することの多い症状や疾患をとりあげています。
医療的ケア児や発達障害,地域のなかで果たす看護の役割
子どもの健康課題として話題になることが多い,医療的ケア児や自閉スペクトラム症などの発達障害についてもとりあげています。これらも含め,疾患や障害をもった子どもが成長・発達を遂げていくのに病院外の家庭や地域での生活の重要性が増し,そこでの健康支援が求められています。看護がどのような役割を果たしていけるか,そのような視点も提供しています。
編集者から読者へのメッセージ
小児看護のアセスメントを扱った本はこれまで,先天性疾患や何年にもわたって行われる手術など治療のあり方に主眼をおいたものが多かったようです。そうした情報は,専門的な小児看護にとっては不可欠なものですが,本書では,それだけでなく,子どもに大きな影響をもつ保護者や家族について,あるいは幼稚園や保育所など地域で生活する子どものありようなど,より広い視点を提供しています。経時的で専門的な小児看護を展開するためのスタート地点を学ぶことができる一冊です。
主な目次
総論1 小児看護における観察
- 1 小児看護の目的と看護専門職の役割
- 2 小児看護における観察
- 01 子どもの成長と発達
- 02 子どもの発達を基本とした健康状態の観察
- 3 さまざまな特徴をもつ子どもと家族の観察
- 01 健康の連続性の視点からの子どもの観察
- 02 定型発達と異なる発達をしている子どもを観察する視点
- Column 子どもに対するプレパレーション
総論2 子どもを観察するときの技術
- 1 子どもや保護者とのコミュニケーション
- 2 子どもの観察技術
- 01 フィジカルアセスメントの技術
- 02 問診+フィジカルイグザミネーション
- 03 特別な状況にある子どもと保護者の具体的な観察技術
- 04 観察で得られた情報の解釈と統合
各論1 全身状態・症状の観察
- 1 一般状態の観察
- 01 バイタルサイン
- 02 全身の状態(表情・機嫌・活動性・意識)
- 03 皮膚の状態
- 2 たびたび出現する症状の観察
- 01 発熱
- 02 嘔吐・下痢・脱水
- 03 けいれん
- 04 痛み
各論2-1 小児期の代表的な疾患
- 1 ロタウイルス感染性胃腸炎
- 2 マイコプラズマ肺炎
- 3 ファロー四徴症
- 4 ヒルシュスプルング病
- 5 骨折
- 6 発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)
- 7 中耳炎・扁桃炎
- 8 1型糖尿病
- 9 急性リンパ性白血病
- 10 若年性特発性関節炎
- 11 食物アレルギー
- 12 難治性てんかん
- 13 脳性麻痺
- 14 自閉スペクトラム症
各論2-2
- 1 低出生体重児
- 2 医療依存度の高い障がい児
- 3 18トリソミー
著者情報
編集
山口桂子(やまぐち・けいこ)
日本福祉大学教授
泊祐子(とまり・ゆうこ)
関西福祉大学大学院教授
執筆
小児看護専門看護師や,小児看護などの認定看護師が顔をそろえ,エキスパートナースとしての「気づき」を示しています。