保育者の働き方改革--働きやすい職場づくりの実践事例集
9月30日に開催された刊行記念セミナーは、130名を超える参加者で盛況でした
内容紹介
現在、保育現場における課題の一つに、保育士不足が挙げられます。これは、待機児童を抱える都市部だけではなく、地方部を含めた全国的な課題といえます。
厚生労働省は、令和3年3月「保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドライン」を公表し、保育者にとって生涯働ける魅力ある職場づくりを行うことの重要性が示されました。本書では、各施設で保育者が働きやすい環境を検討し、働きやすい環境ができれば離職者を減らし、さらには就職希望者が増えることにつながるのではないかと考え、全国の11の先駆的な取り組みを紹介しています。
事務作業から保育の見直しまでの具体的な取り組みをまとめるとともに、「就業規則」「労働時間」など労働に関する基礎知識も解説しました。
本書の特徴
- ●保育所・認定こども園・幼稚園の働き方改革の取り組みがわかる
- ●働き方改革の結果として、保育者の生の声も収載
- ●改革のプロセスがわかるため、自園が取り組む際の参考になる
事例提供園
丹波島こども園・ころぽっくる保育園/餅ヶ浜保育園/南大分に笑顔咲くえん わらひ/羽村まつの木保育園/こじかこども園/御南まんまるこども園/認定向山こども園/佛教大学附属幼稚園/順正寺こども園/あそびの森あきわ/すみれこども園
編集者から読者へのメッセージ
日本全体が働き方改革に舵を切っている今日、保育所をはじめとする保育現場の保育者にも働きやすい職場の提供、ワークライフバランスが求められます。しかし、従来、保育者のボランタリーに依拠していることが多く「子どものため」と遅くまで残業したり、持ち帰り仕事を良しとすることが多かったのではないでしょうか。
今後は、働き手の不足もあり、子どもや保護者だけでなく、保育者から選ばれる園でなければ、運営が厳しくなることが予想されます。これは単に、保育者に迎合するということではなく、保育者が働きやすく、魅力ある職場でなければ、保育の質を上げることが難しくなる、つまり子どもに還元するためにも、保育者の満足度の向上が不可欠なのです。
本書では、全国各地の取り組みから、読者の園の参考となる事例を集めました。業務管理から着手する園もあれば、行事など保育実践を見直す園もあります。自分たちの園で何ができるかを考えて、一歩ずつ進めてみましょう。
第1編集部 平林敦史
主な目次
第1章 これからの保育現場の働き方
- 1 働き方改革とは
- 2 保育者の働き方の現状
- 3 保育者の働き方改革を実現するために
第2章 実践園から学ぶ ワーク・ライフ・バランス実現のプロセス
- 1 業務の見直し
- 1-1 業務の見直し
- 1-2 労務環境の改善・効果
- 1-3 ICTの活用
- 2 保育者の支援
- 2-1 家庭と仕事のバランス
- 2-2 人手不足の解消
- 2-3 保育の質の向上の担保
- 2-4 保育補助者の活用
- 2-5 保育者のメンタルヘルス
- 3 保育の見直し
- 3-1 研修の充実
- 3-2 保育の見直し①
- 3-3 保育の見直し②
- 1 就業規則
- 2 労働時間
- 3 休憩時間
- 4 休暇
- 5 同一労働同一賃金
- 6 パワーハラスメント
- 7 園の相談窓口
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保育者の働き方改革--働きやすい職場づくりの実践事例集
監修:社会福祉法人日本保育協会
編著:佐藤和順(さとう・かずゆき)
サイズ:B5 186頁
価格:2750円(税込)
第3章 ワーク・ライフ・バランスの取り組みを実践・成功させるための基礎知識
著者情報
監修:社会福祉法人日本保育協会
編著:佐藤和順(さとう・かずゆき)
佛教大学教育学部教授・佛教大学附属幼稚園園長・岡山県立大学名誉教授。博士(学校教育学)。兵庫大学短期大学部助教授、就実大学教育学部教授・就実教育実践研究センター長、岡山県立大学保健福祉学部教授・地域連携推進センター長を経て現職。著書に『MINERVAはじめて学ぶ保育2 教育原理』(分担執筆、ミネルヴァ書房、2020年)、『保育学用語辞典』(執筆、中央法規、2019年)、『保育者のワーク・ライフ・バランスー現状とその課題ー』(みらい、2016年)などがある。