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「ずれ」を楽しむ保育
子どもの思いが輝く遊び・生活

内容紹介

「ずれ」には積極的な意味があり、保育において重要な視点に

 保育場面で生じるさまざまな“ずれ”を、保育者の関心の高い「遊び・生活」「行事・環境・計画」「研修・学び合い」のテーマでまとめた“「ずれ」を楽しむ保育”シリーズ(全3巻)。本シリーズを読むことで、読者の皆さんが実践での経験に近い学びが効率的に得られ、保育における対応のバリエーション等を増やせることを意図しています。

日常のなかで想定外を楽しむ

 本書のテーマは「遊び・生活」です。保育者と子どもたちとの日常は、想定外の出来事の繰り返し。子どもの「○○したい」という言葉から、保育者がそれをかなえるための環境を整えたとたんに、子どもが次々とアイデアをひらめき、興味・関心が変化していくといったように、子どもたちの遊びは次の遊びへと自然と展開していきます。そうしたとき、保育者の心の中には「これで終わり?」「え?そうするの?」「これでいいのかな?」といった思いが浮かびます。
 そこで、子どもたちと遊びをともにしていくと、または、その様子をいったん離れて見守ると、子どもたちの無限の探求心と発想力に気づくことができるのです。本書では、子どもたちの姿に保育者が驚きの心をもって、柔軟に対応することで子どもたちがいきいきと輝き出した13の事例を掲載しています。
 つい声をかけたくなったり、この遊びはこうやってするんだよ、この道具はこういうふうに使うものだよと言いたくなるとき、一歩引いて、子どもの姿を「こんなふうに考えるのか」「そう来るか」ととらえることができると、きっと保育はもっと楽しくなります。

編集者から読者へのメッセージ

保育は葛藤の中で展開していく

 保育者が子どもとの「ずれ」に気づいたとき、それを否定するのではなく、積極的に受け入れ、「ずれ」を楽しむことで、子どもの新たな一面を発見し、保育の質を高めることができます。
 本書の中で、編者の宮里暁美先生は、「保育者としての経験を重ねると、子どもたちの姿を予想できるようになりますが、子どもたちの反応が予想通りすぎたら、自分の保育を少し見直すときが来たと考えるほうがいい」と述べています(刊行にあたってより)。
 皆様にとって、この本が日々の保育をふり返り、保育がより楽しくなる一助となりましたら幸いです。

主な目次

第1章 子どもは保育者の想像を超えていく
第1節 子どもたちの思いや夢が輝く保育を目指して
第2節 偶然の発見と子どもたちの発想を尊重するには
第3節 「ずれ」に着目すると見えてくる保育実践のおもしろさ 

第2章 子ども再発見!「想定外」を活かした保育
事例1 「転がし遊び」の興味・関心の変化
事例2 保育者の想定を超えて展開するこま遊び
事例3 ギュウギュウが楽しい 「フワフワボール」で遊ぶ子どもたち
事例4 大切にしたい子どもの想いと揺れ動く保育者の願い
事例5 海賊好きから広がる遊び
事例6 魚にあこがれて、魚を遊ぶ
事例7 小学生が作ったサウナ・SASUKE
事例8 “危ない”を“楽しさ”に変えるには
事例9 「全部使いたい!」を受け止めることから
事例10 「このままでよいのか?」園環境を見直してみる
事例11 子どもの“いきいき”を目指して
事例12 自分らしく、くつろいで過ごす夕方の保育
事例13 親も子も小学生も楽しい時間
COLUMN 子どもの目のつけどころ・ひらめき!を保護者と共有するために
COLUMN 小学校教員から見た子どもたち

座談会 子どもの中で動いたことを大切にすると保育が楽しくなる

著者情報

宮里暁美(みやさと・あけみ)
お茶の水女子大学お茶大アカデミック・プロダクション寄附講座教授

田島大輔(たじま・だいすけ)
和洋女子大学人文学部こども発達学科助教

中村章啓(なかむら・あきひろ)
野中こども園副園長