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8050問題 本人・家族の心をひらく支援のポイント

内容紹介

深刻化する8050問題の支援がわかる、待望のガイドブック

80代の親が50代のひきこもり等の状態の子どもを経済的・社会的に支える家庭が増えており、「8050問題」として知られるようになってきました。その状況は近年ますます深刻化し、保健・福祉・医療の現場でこの問題に直面する専門職からは、この問題に関わる機会の増加とその支援の難しさに悩む声が聞かれます。
本書は、こうした現状に不可欠な、8050問題への具体的な支援の方法を解説した支援者向けガイドブックです。

豊富な事例とともに、支援のポイントとコミュニケーションの方法を解説

著者が構築した、家族心理教育から始まり本人の居場所への通所や就労につなげる実践(伴走型支援“山根モデル”)は、今、その成果によって全国的な注目を集めています。本書は、その実践から生まれた、支援の8つのポイント、支援のプロセス、家族・本人のアセスメント、支援者として行う本人・家族とのコミュニケーションなどのノウハウを、豊富な事例とともに解説しています。8050問題の支援で最も大切な、家族の関係性の“悪循環”を“好循環”に変えていくための関わり方がわかる本書は、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員、保健師、自治体職員、相談支援員、精神科医療関係者、民生委員など、この問題に関わる全ての支援者の方々にとって“必携”と言える一冊です。

編集者から読者へのメッセージ

本書は、8050問題という困難な課題に立ち向かう支援者の皆様のために、具体的な方法を提示することを目指した一冊です。
8050問題は、ひきこもりの長期化・高齢化という現代社会における深刻な問題であり、支援者の方々には、家族や本人の苦悩を受け止め、寄り添いながら、時間をかけて向き合っていく姿勢が求められます。本書では、山根先生が独自に構築した「山根モデル」を軸に、家族へのアプローチから本人への支援へと段階的に進めていく伴走型支援の具体的な方法を、豊富な事例とともに紹介しています。これは、あたかも伴走者が、視覚障害のあるマラソン走者の傍らに寄り添いながらゴールを目指すように、対象者の状況を理解し、信頼関係を築きながら、必要な時に手を差し伸べていく支援の形です。課題解決型のアプローチは、孤立した本人・家族を「否定」していることになり、それでは心を閉ざしてしまうと、著者は本書で繰り返し述べています。本書が、支援が少しでも前進することの一助になれば大変うれしく思います。

主な目次

はじめに
Chapter1 8050問題ってなに?
Chapter2 望まれる8050問題への支援体制と課題
Chapter3 支援者に求められる役割と支援のプロセス
Chapter4 事例で考える8050問題への支援のポイント
Chapter5 事例分析でわかる本人・家族とのコミュニケーション

著者情報

山根俊恵(やまね・としえ)
山口大学大学院医学系研究科保健学専攻教授(精神看護分野)。
総合病院精神科、精神科病院、在宅介護支援センター勤務を経て、2004年より大学教員となる。山口大学医学部SDS支援システム開発講座教授、株式会社いちから取締役、宇部市障害者ケア協議会発達障害者部会会長などを務める。看護師、精神科認定看護師、介護支援専門員、相談支援専門員、認知症ケア専門士の資格を持つ。2005年に、精神障害者の居場所の提供や就労支援などを行う「NPO法人ふらっとコミュニティ®」を立ち上げ、2015年に宇部市の委託を受け、全国初の取り組みとしてひきこもり支援を本格的に開始。伴走型支援である「山根モデル」の実践は、多くのメディアに取り上げられ、現在は市民向けの公開講座や支援者教育、支援体制づくりにも尽力する。
2018年保健文化賞受賞。主な著書に『ケアマネ・福祉職のための精神疾患ガイド』『チームで取り組むケアマネ・医療・福祉職のための精神疾患ガイド』『親も子も楽になる ひきこもり“心の距離”を縮めるコミュニケーションの方法』(ともに中央法規)