老年看護学実習ハンドブック
内容紹介
高齢者の全体像をとらえた実習にするために!
超高齢社会の日本では,看護学生が臨地実習で受け持つ患者さんの多くは高齢者です。しかし近年、核家族化の影響などもあり,日常的に高齢者とかかわったことがないという看護学生の声を聞きます。また、高齢者は個別性が高く、さらにはマルチモビディティ(多疾患併存)の問題を抱えている人も多く、全体像を把握して看護援助を考える学生には、他領域の実習と比べてとても難しく感じることがあります。
本書は、そんな、教科書だけではイメージしにくい老年看護学実習に臨む学生を、全力でサポートします!
高齢者とのコミュニケーション、アセスメントのポイントやツールの活用法、実習先の特徴、実習指導者とのかかわり方などについて、わかりやすく紹介しました。学生が困りがちな内容をQ&Aでまとめ、現在臨床で活躍している先輩や指導者からのメッセージも収載しました。実習前・後にも活用できる1冊です。
本書の特徴
★老年看護学実習で学ぶことがわかる
★マナーをはじめ,実習に臨む心構えがわかる
★高齢者と関係を構築するためのポイントがわかる
★さまざまな実習先の特徴と学び方がわかる
★関係職種との連携がわかる
★マルチモビディティや老年症候群の高齢者など,対象の特徴がわかる
★Q&Aで実習の不安や疑問を解消できる
★病院で活躍する先輩たちの体験談,実習指導者からのメッセージも収載
編集者から読者へのメッセージ
現在のわが国では,入院患者の70%以上が65 歳以上の高齢者という状況ですので,看護学生の皆さんが臨地実習で受け持つ患者さんの多くは高齢者になります。高齢者は,長い道のりを生きてきたうえで人生の最終段階を過ごしています。看護学生の皆さんには本書を通して,「死」を身近に感じるようになる人生の最終段階において,「老いを生きる」一人ひとりの高齢者の豊かな生活を支えることを看護の中心に考えて,患者さんと向き合っていただきたいと思います。
本書では高齢者看護における重要な視点をお伝えしつつ,学生の皆さんが安心して老年看護学実習に臨めるように,何よりお世話になる患者さんに対してよりよい看護が実践できるように,さまざまなエッセンスをお伝えしていきます。老年看護学実習に安心して向き合うための準備ができ,実際の臨地実習における対象理解と看護のヒントを得て,学びの大きい臨地実習となるように願っています。
主な目次
第1部 臨地実習で困らないために―老年看護学実習の基本
第1章 老年看護学実習までにおさえておくべきこと―老年看護学の基礎
1 老年看護学で重要なキーワード
2 マルチモビディティ(多疾患併存)の高齢者をみるために
3 老年看護学で重要なアセスメントツール(評価指標)
4 高齢者の全体像をとらえるということ
5 老年看護学実習時に重要な看護技術
6 老年症候群について
第2章 老年看護学実習への心構え
1 老年看護学実習のための心構えと重要なポイント
2 受け持ち患者さんへの挨拶,実習同意書の説明と署名について
第3 章 さまざまな臨地における老年看護学実習
1 急性期病院における老年看護学実習
2 回復期リハビリテーション病棟における老年看護学実習
3 地域包括ケア病棟における老年看護学実習
4 介護老人保健施設における老年看護学実習
5 介護老人福祉施設における老年看護学実習
6 地域における老年看護学実習―地域包括支援センターの実習
7 地域における老年看護学実習―老人福祉センターの実習
第4 章 対象の特徴理解―病態・症候別に臨地実習で学んでほしいこと
1 認知症のある高齢者
2 廃用症候群のある高齢者
3 骨折のある高齢者
4 感染症のある高齢者
5 慢性疾患を抱える高齢者
6 エンドオブライフ期にある高齢者
第2部 Q&Aでわかる 老年看護学実習の準備・実習時の注意点・振り返り
Ⅰ 実習前の準備
Q1:実習までの健康管理はどうするのがよいでしょうか?
Q2:実習前,事前にどんな学習をしておけばよいでしょうか?
Q3:実習当日の服装や身だしなみはどのようなものがよいでしょうか?
Q4:看護技術は何を学習しておけばよいでしょうか?
Ⅱ 実習中の動き
Q5:高齢者への挨拶はどうすればよいでしょうか?
Q6:高齢患者さんから情報収集するときに留意することは何でしょうか?
Q7:既往歴はすべて調べる必要がありますか?
Q8:薬がたくさんありますが,すべて調べたほうがよいでしょうか?
Q9:看護師以外の職種の人に質問してもよいでしょうか?
Q10:家族へのアプローチはどのようにしたらよいでしょうか?
Q11:受け持ち患者さんが体調不良で話せないときはどう過ごしたらよいでしょうか?
Q12:患者さんから住所を尋ねられたり,おやつなどを手渡されたらどうしたらよいでしょうか?
Q13:受け持ち以外の患者さんからお願い事をされたら,どうしたらよいでしょうか?
Q14:経過の長い患者さんの情報収集はどのようにするのがよいでしょうか?
Q15:嚥下障害のある人の食事介助はしてよいでしょうか?
Q16:話が終わらない患者さんへの対応はどうすればよいでしょうか?
Q17:カンファレンステーマはどのように決めればよいでしょうか?
Q18:身体拘束されている患者さんを受け持っていますが,拘束を外してコミュニケーションをとったりケアをしたりしてもよいですか?
Q19:患者さんからセクハラ・パワハラを受けたときにはどうしたらよいでしょうか?
Q20:認知症の人からどのように情報収集したらよいでしょうか?
Ⅲ 臨地実習の記録やレポート,評価等について
Q21:日々の振り返りの記録にはどのようなことを書けばよいでしょうか?
Q22:実習まとめのレポートでは何に注意して書けばよいでしょうか?
Q23:高齢患者さんのアセスメントは難しいと感じますが,ポイントを教えてください。
Q24:臨地実習の自己評価はどのように考えたらよいでしょうか?
Q25:「看護計画に具体性を」と指導を受けますが,実際にどのように書いたらよいでしょうか?
第3部 先輩,臨地実習指導者の声から学ぶ老年看護学実習
卒業後5年経った現在,老年看護学実習を振り返って思うこと
卒業後3年経った現在,老年看護学実習を振り返って思うこと
老年看護学実習に臨む学生へのアドバイス~臨地実習受け入れ病院の臨地実習指導者から~
老年看護学実習に臨む学生へのアドバイス~臨地実習受け入れ病院の看護部から~
著者情報
編集
濱吉美穂(はまよし・みほ)
佛教大学保健医療技術学部看護学科准教授
執筆(執筆順)
濱吉美穂(はまよし・みほ)
佛教大学保健医療技術学部看護学科准教授
阿部慈美(あべ・めぐみ)
佛教大学保健医療技術学部看護学科講師
久米真代(くめ・まさよ)
福井県立大学看護福祉学部看護学科教授
後藤小夜子(ごとう・さよこ)
甲南女子大学看護リハビリテーション学部看護学科助教
外村昌子(そとむら・まさこ)
森ノ宮医療大学看護学部看護学科教授
安本厚子(やすもと・あつこ)
佛教大学保健医療技術学部看護学科助教
山岡怜未(やまおか・れみ)
済生会滋賀県病院看護部
石川莉沙(いしかわ・りさ)
京都民医連中央病院看護部
古殿真奈(ふるどの・まな)
京都民医連中央病院看護部
長谷川美智子(はせがわ・みちこ)
京都民医連中央病院看護部