第39回 [BRANDED TO KILL]
『殺しの烙印』(’67年、鈴木清順監督、宍戸錠主演)
この作品は海外で評価が高い作品です。
「Hi !! Is this Joe Shishido’s office ?」
電話の通知を確認すると圏外です。どうやら、国際電話みたいです。
久しぶりに話す、私の拙い英語・・・
鈴木清順監督が、日活を後にしなければならなくなってしまった問題作は、外国では大変、人気があるようです。
本日は、『殺しの烙印』のDVDのコメンタリーのインタビュー撮りです。
何しろ外国とのお仕事は、本当に大変です。
会話やメール等が、全て英語ですし、どのような会社なのか調べたりと・・・
今回の担当者は、途中から英語ではなく日本語をお話しになり、どうやら、かたことの日本語はお出来になるようですが、かえってちゃんぽんでわからなくなってしまいます。
父も最初はあまり信用していませんでした。
しかし、いろいろな方の協力により調べた結果、引き受けることにした私達は、麻布十番の外国人専用の素敵なマンション一室のスタジオへ・・・入った途端、そこは、もう海外のようでした。そして、打ち合わせも英語と日本語の半々で行われ、私と担当者が英語で話したり、その方がカナダ出身なので、カナダ留学経験のある太田剣も同席していたので、3人で英語で話していました。
「インタビューは、最初に英語、それから通訳の方が日本語で質問したら、日本語で答える。そして、後で英語の字幕スーパーがでます」と、父に説明しました。
「OK !!」と、父。
「日本語でいいんだからね」と、念を押す私。
「ローリング スタート!!」と、ディレクターが合図します。
「ハーイ!! アイム ジョー シシド・・・」
ディレクターが「ニホンゴ デ オネガイシマス」
「OK!!」と父。
「英語でもいけるよ」と、父。
気分はもうアメリカ人。
「ソレデハ テイク2」と、ディレクター。
「ウェル・・・」又もや、英語を喋ろうとする父。
私達は笑うことを我慢することに苦しくなってきました。
それからも、何度も英語を話し、やり直しましたが、やっと、日本語で話し始めた父。
「パーフェクト!!」
この後、彼等は鈴木清順監督のインタビューを撮りに行くそうです。
「俺も行って、英語で監督をサポートしてやろうか」
「アリガトウゴザイマス。タノムトキハ デンワシマス。ヨロシクオネガイシマス」
私とディレクターは笑みを浮かべています。
次回の仕事で、ニューヨークに行くかもしれないとお話ししたら、「OK! ニューヨーク デ アイマショウ」と。
私達は外国の空間を後に、麻布十番の商店街に出ました。
「蕎麦でも食うか」と、父。
英語に疲れたのでしょうか・・・
「やっぱり日本人は蕎麦だよな」
美味しいお蕎麦を食べながら、だんだん、私達の体と頭は日本人に戻っていきました。
外国版[BRANDED TO KILL]コメント撮り/麻布十番にて
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。