第24回 コルトは芸能界のパスポート
「打ち合わせはいらない!!」
いつも、講演会、トークショー、テレビ番組でも、父は本番のみで勝負します。
今回(第21回で告知した「調布映画祭2011 東洋のハリウッドと言われていた頃~赤木圭一郎没後50年~」)も制作者側は「打ち合わせは、本当にしなくて大丈夫ですか? せめて、マネージャーさんだけでも・・・」と言われましたが、このごろ、私も父の影響を受けたのか、父の「大丈夫だ!!」と言った後の実績を目の当たりにしているせいか、あまり打ち合わせをしなくなりました。
本番の2日前に「小道具も使おう」と、突然、思い立ち、父の小道具を担当している方に連絡し、「明後日、15:30に持ってきて・・・」と、父。長年の付き合いもあり、宍戸錠を知り尽くしているので、彼も「わかりました」と、急なお願いを聞いてくれました。そう、これだけで本番に至る訳であります。しかし、制作スタッフから連絡があり、「明日、どうしますか?!」と。みんなは父と仕事をするのは初めてですので、不安でたまらないよう・・・メールだの、連絡だの、FAXだのと、引っ切り無しに私に連絡が来ます。「大丈夫です。まかせて下さい」と言うしかありません。
が、しかし、当日、小道具の方が時間を勘違いし、本番10分前になっても現れず、皆、ヤキモキしています。私はスタッフにプランBでできるか交渉しました。一応、マネージャーとして、父のプランAに対し、プランBをいつも用意しています。
幕が上がり、500人近いお客様の前で、舞台裏のハプニングを一切感じさせずに宍戸錠は語り始めました。私はいつものように、舞台と客席を行ったり来たり・・・トークショーは無事、終わりました。その後、『拳銃(コルト)は俺のパスポート』の上映が始まり、「観て行くか」と言う父と二階席に着きました。
この映画は父が主演映画の中で一番気に入っている作品です。よく、DVDに監督のコメンタリー(解説)付きがありますが、「この映画、俺が主役だけど、出番少ないだろう・・・この映画撮りながら、舞台、テレビドラマを掛け持ちでやってたんだよ」本編の父の台詞が被さります。「あ、このベンツは銃で撃っても割れないよう、わざわざ作ったんだよ」爆発音が・・・「あ、この渚館は皆の溜まり場でね」と、まさしく生コメンタリー付き映画となりました。そう、多重音声で、左右のスピーカーと父が、私を通過し、リレーを行っているようでした。
平日にも拘らず、まだアクション映画の人気は衰えず、大勢のお客様にお越しいただきました。皆の拍手はしばらくの間、鳴り止みませんでした。題名通り、まだまだ、コルトは芸能界の錠のパスポートみたいです。
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