第4回 錠の絵心と「我が青春エースの錠!」望月三起也(漫画家)
お庭に咲く椿の花の前で、小さな女の子が摘んだお花をお母さんに・・・哺乳瓶を片手に娘から差し出された一輪の椿の花に顔を近づけ、穏やかな表情のお母さん。
実家のリビングに飾ってある、その絵は父が描いたものです。
今の実家を建てる前の家で父と母と私で住んでいた頃、父はよく絵を描いていました。
父の画材をご近所に住んでいた3人トリオで、イタズラしていた記憶があります。そう、二谷英明さんのお嬢さん、桂小金治さんのお坊ちゃんと私です。りーくん、りょーたくん、しーくんのトリオはよく、イタズラばかりしていました。
とにかく、家には画材道具がいっぱいで、家にいるときは、母や私や、いろいろな絵を父はよく描いていました。
「画家に何故ならないの?」と私が聞くと、
「画家じゃ食えないだろう」
「食っていけるのはプロ野球選手か映画スターなんだ」と父。
でも、ファンの方からサインを求められると、色紙によく自画像を描く父。本当は画家になりたかったのでは・・・と、私は思うのです。
絵を描いたり、文学青年だった父は、「食うため」にアクション・スターになった気がします。
画家でもある父は、しまいに宍戸錠の顔まで描いてしまい、「チッ、チッ、チッ」と、ニヒルなガンマンに・・・
そんな、夕日を背にしたガンアクションスター・エースのジョーにハマッた漫画家、望月三起也さん。
「日本人ばなれしたカッコ良さは、私の漫画に投影されるのは間違いない」と、林海象監督同様、錠ファンであると仰います。
「あまりにも気合を入れて描いてしまい少しバランス崩したと反省しています。ファンなんでスミマセン」
「我が青春エースの錠!!」と望月さん。
父はファンのためにも、食うためにも、好奇好齢者俳優になった今も、ハードボイルドでい続けなければならないのです。
「『人に非ずして、人を憂える』と書いて”俳優”。毎回、悩みもするけど、自分では天職だと思ってるよ」と父。
宍戸錠直筆
宍戸錠出演の映画『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』が
10月2日から全国ロードショー公開されています。
http://www.nude-ai.com/
次回は10月18日(月)になります。
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