第6回 “赤木圭一郎さんに捧げる[黒い霧の街]・・・宍戸錠 歌います♪”
「ジョーちゃん、遊びましょ・・・」
父の実家によく遊びに来て、兄弟のように仲が良かったと父は言います。
第1期生として宍戸錠。トニーという愛称で脚光を浴びた赤木圭一郎さんは、第4期生として、日活に入社しました。そして、「拳銃無頼帖」シリーズの無国籍映画で、赤木圭一郎さんと父は共演しました。
日活のアクション俳優として、マイトガイの小林旭さん、タフガイの石原裕次郎さんに続く、「第三の男」と呼ばれた赤木圭一郎さん。父も日本人離れした風貌ですが、ハリウッド・スターのトニー・カーティスさんにどことなく似ていたということで、「トニー」という愛称で呼ばれ、日活ダイヤモンドラインの石原裕次郎さん、小林旭さん、和田浩治さん、宍戸錠と共に、日活黄金期を支えた俳優の一人です。(父は、チャンユー、アキラ、キッド、ジョー、そして、トニーと呼びます)
第5回 “俳優の宿命”
小刻みにきざむ無機質な音・・・
TVのロケ。夕方からは映画の重要なミーティング。翌朝はバラエティーのロケ。
「いいか、しえ、何があっても仕事優先にしろ!」と父。
「・・・」
私が生まれる時も、父は映画のロケでメキシコに行っており、立ち会えなかったと母から聞いていました。
第4回 錠の絵心と「我が青春エースの錠!」望月三起也(漫画家)
お庭に咲く椿の花の前で、小さな女の子が摘んだお花をお母さんに・・・哺乳瓶を片手に娘から差し出された一輪の椿の花に顔を近づけ、穏やかな表情のお母さん。
実家のリビングに飾ってある、その絵は父が描いたものです。
今の実家を建てる前の家で父と母と私で住んでいた頃、父はよく絵を描いていました。
父の画材をご近所に住んでいた3人トリオで、イタズラしていた記憶があります。そう、二谷英明さんのお嬢さん、桂小金治さんのお坊ちゃんと私です。りーくん、りょーたくん、しーくんのトリオはよく、イタズラばかりしていました。
とにかく、家には画材道具がいっぱいで、家にいるときは、母や私や、いろいろな絵を父はよく描いていました。
「画家に何故ならないの?」と私が聞くと、
「画家じゃ食えないだろう」
「食っていけるのはプロ野球選手か映画スターなんだ」と父。
でも、ファンの方からサインを求められると、色紙によく自画像を描く父。本当は画家になりたかったのでは・・・と、私は思うのです。