<連載18>乗馬セラピーによるリハビリ その2
2013年02月22日 09:10
吉川コミュニティ牧場にいるセラピーホースは4頭。出生地は北海道や栃木などいろいろですが、セラピーホースなのでおとなしい。普段はじっと静かに立っています。牧場にはアルパカや山羊、ウサギなどの小動物もいます。待ち時間などにこれらと触れあうのもいいですね。お子さんにもぴったりです。
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見学に行ったときは、男性の方が牧場長の馬場先生とマンツーマンで乗馬の練習をしていました。近くをジョギングしているときに偶然、牧場をみつけて受講されたとか。すでに乗馬の経験があるためかお上手。
乗馬をするとき、生徒さんはお馬さんが大好きな人参などをお土産に持っていくのが習慣で「お疲れさま。ありがとね」と差し出すと、目を輝かせてパクパク食べます。手であげても噛みつかれることはありませんよ。乗馬前、乗馬後にはブラッシング等で手入れをしてあげる。これは常識ですね。慣れてくると、牧場から出て、近くを流れる江戸川まで馬で散歩することもあるんだって。
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乗馬セラピーにはドイツ式、イギリス式、アメリカ式があるそうです。吉川コミュニティ牧場はアメリカ式。1900年代初頭のイギリスで、負傷した兵士を回復させるのに、病院で馬に乗せたのが障害者乗馬の始まりと言われているようです。1952年にはヘルシンキ五輪の馬術競技で両足マヒのリズ・ハーテルが健常者と一緒に参加し、銀メダルを獲得しています。
日本に導入されたのは1985年頃 。1993年に全国障害者交流乗馬大会が開かれています。やがて日本障害者乗馬協会(JRAD)、日本乗馬療法協会が発足。2000年のシドニーパラリンピックに日本から馬術選手が初参加します。知的障害者が参加するスペシャルオリンピックスにも馬術がありますね。
「ドイツでは医学の一分野に組み込まれていて、医療保険が適用されています。イギリスとアメリカでは、重傷な方を対象にしたヒポセラピーと、馬の背で座位を保つことのできる動物介在療法(EAAT)の2つに分かれています」と馬場先生。
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馬の乗り方には、馬の背に仰向け、あるいはうつ伏せのスーパーマン・スタイルで全身を預ける方法など、いろいろあるそうです。馬の歩行中、背中に乗っていて受ける前後・左右・上下の揺れは、乗り手の脳や脊髄などを刺激し、活性化させると考えられているようです。馬が与えてくれるリハビリ効果って奥が深いらしい。全身の筋肉強化、運動神経やバランス感覚のアップ、血液の循環が良くなる、集中力がつく……等さまざまな効果が現れるそうです。
回復効果があるとして国際的に認められている症状は、自閉症、視覚・聴覚障害、脳機能損傷、知的発育遅滞、脊髄損傷、てんかん、ダウン症、不登校、精神疾患、言語障害、等々。
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さて、心配なのが料金だと思います。一般の乗馬倶楽部などでは、入会金数十万円の所もありますが、ポニーフレンドは1万円で、講義や準備を含む約1時間のレッスンが2500円。月4回1万円が基本です。休んだり、雨で屋外での乗馬ができない場合は振り替えてもらえます。対象者の範囲がすごい。年齢は2歳(ダウン症の方は3歳)から上限なしで、障害を持つ方全般。主治医の許可は必要です。もちろん健常者も楽しめる。高齢者にも最適です。
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お馬さんはかわいいですよ。日常の移動手段に使っちゃおうかしら。法律上は軽車両。自転車と同じ扱いですが、おしっことウンチの扱いがネ……。
吉川コミュニティ牧場『ポニーフレンド』
埼玉県吉川市会野谷1-1 電話090-3686-4207
埼玉県吉川市会野谷1-1 電話090-3686-4207
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次回の更新予定は3月8日(金)です。
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