<連載11> 言語聴覚士ってご存じ? その2
2012年11月02日 09:10
言語聴覚士ってご存じですか? 病院やリハビリテーションセンターなど専門職の間では“ST”と呼ばれます。スピーチ・セラピスト(Speech Therapist) ──。このほうがカッコいいしイメージ的にわかりやすい気がしますね。しゃべる、聞くことに不便がある人のリハビリをする療法士さんです。他に、嚥下(飲み込み)障害や言葉の未発達な子どもをサポート。そしてボクのような高次脳機能障害もSTさんが対応します。リハビリの目的は、コミュニケーション能力の回復です。
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今回、STのお仕事についてお話をお伺いしたのは、ボクを担当してくださっている『在宅リハビリテーションセンター草加』の言語聴覚士・石田瑞恵さん。彼女の笑顔が現れると、何となく部屋が明るくなります。STさんは、障害を持つ人から「この人としゃべりたいな」と思われる雰囲気を持っていないとだめなようです。やっかいな相手を治療しているんだよなぁ。
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リハビリの対象として多いのは、脳卒中の後遺症による失語症や構音障害だそう。失語症だと、脳の中で言葉を処理する回路が故障して、指令がうまく届かず、話したり聞いたりすることや、読み書きが難しくなります。言葉のアウトプット、インプットがうまくできない状況。というよりも頭の中で整理できない。ボクも多少なりました。構音障害は舌や唇が麻痺して発音がうまくできない状態で、言葉を思い出したり理解したりはできます。失語症の人と異なり、五十音表や筆談でコミュニケーションを取れます。
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それにしても、STの仕事の範囲は実に広いですね。しかも画一化、マニュアル化された訓練はできない。それは一人ひとり症状が異なり、要求されるものが異なるからです。
ボクの場合、歩く時“立ちすくむ”という症状があります。座っている状態から立ち上がり、いざ歩きだそうとすると、最初の数歩がなかなか前に踏み出せない。でもゆっくり歩いているうちにエンジンが回りだし、スタスタ進む。しゃべりも同じです。最初の言葉がひっかかってなかなか出てこないのだけど、いったん口が回りだすと滑るようにペラペラしゃべれることもある。これって失語症? それとも違うのかしら。
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言語の要素には計算も入っているので、例えば買い物をしても合計やお釣りの計算がなかなかできないことがあります。そのためボクもスーパーではつい大きな額のお札を出してしまう。サイフがお釣りの小銭でふくらむこともしばしばです。
ボクが言語聴覚療法のリハビリを受けるようになって最初に指示されたのは、小文の音読と宿題で文字を書いておくこと。最近、それに2桁の算数が加わりました。何桁でもいいんだけど、こんなことならボクもそろばんをやっておくんだった、石田チャンのように。残念!
次回も続きます。
失語症の人がコミュニケーションを図るために
活用できるカードもいろいろあります
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次回の更新予定は11月16日(金)です。
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