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コーソクくんの「ボクは高次脳機能障害」

困るよりマイペース

 「高次脳機能障害で困っていることは?」なんて聞かれることがあります。そりゃ、たまには困ることはあるけど、年がら年中引きずっているわけじゃない。失敗をする、おかしなことをする。そのあとで、そうだ、これが高次脳機能障害なんだと気づくというわけ。この遅れも高次脳機能障害のせいかもしれない。

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 最近の例でいうと、五十肩のリハビリ。病院で、「おうちでこのような運動をしてください」といわれる。その時には「わかりました」と返事をするのだけど、次のリハビリをしたり、終わってから予約の日時を決めたりしていると、忘れてしまう。完全に忘れるのではなく、半分ぐらいは覚えているので、帰りに一生懸命思い出そうとするんだけど思い出せない。

 リハビリ時にもメモ用紙は持ち歩いている。でもリハビリベッドでメモを取るわけには行かない。そこで、頭の中で繰り返して覚えようとするんだけどうまくいかない。話したり,水を飲んだり、支払いなど、外から刺激があるとすっかり忘れてしまう。数日後にひょっこり思いだすことがあるから、おもしろいんだけどね。

 わかりやすいことで言うと、時計が読めない、計算ができない。そのようなシチュエーションになったら、もう無理しない。以前は“頑張ろう”だったけど、今は、できないのだから、できないように動く。時間は紙に書いてゆっくりと判断。計算も同じだ。電卓や携帯電話も利用する。少し時間がかかっても、“ゴメンね”ですます。

 要するに、マイペースでということ。
 ここまでくる道のりは遠かった。他人にゃ、まだ納得してもらってないけどね。

 次回は2010年9月21日(火)、更新予定です。

kousoku100914.jpg
春にチューリップに似た花が咲くユリノキの並木は三郷市文化会館裏


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プロフィール
コーソクくん
(脳梗塞& 高次脳機能障害)
1951年生まれ。大学卒業後、フリーのライターとしてAV機器評論を行う。著書は約30冊。2008年に脳梗塞を発症し、半身マヒに。2009年、リハビリ医を紹介され、高次脳機能障害と診断される。埼玉県三郷市にて高次脳機能障害者とその家族を中心にした地域会に参加し、新たな暮らし方を模索中。
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