テレビにそぐわない!
最近、テレビで高次脳機能障害を扱った番組が増えてきた。それを見るたびに感じるのが「テレビというメディアにそぐわないなぁ」である。まじめに作っているし、間違ってもいない。でもなんかしっくりこない。
事故や病気で脳にダメージを受けたことによる後遺症。ここまではわかりやすい。だが、現れる症状は、注意障害や記憶障害、失語症など。ひとつひとつの症状については、以前より知られるようになっているのだが、それだけにテレビで高次脳機能障害として紹介しづらいのではないかと思う。
変に扱うと障害のデパートみたいになってしまう。それも個々の障害に着目すると、軽いこともあるし、多かれ少なかれ健常者だってもっていそう。そもそも症状はバラバラに現われる。テレビで紹介しづらいですよね。
原因疾患は、脳梗塞や交通事故、脳炎、低酸素脳症などだから、そこは押さえやすいし、番組も作りやすい。だが、それによって引き起こされる高次脳機能障害になると、とたんにはっきりしなくなる。言っていいかわからないけど、“華”がないのね。
当事者の患者意識もたぶんそうだろう。ボクも一応当事者ということになっているが、ふだん“患者”として意識したことはない。「わたしは高次脳機能障害です」と言ったこともない。
外見上も健常者と違いはない。そもそも、外見とか行動から判断できる障害自体が少ない。あっても隠してしまう場合もある。見た目ではわからないけど、動きたいけど動けない、働きたいけど働けない人が大勢いるんだろうなぁ。ボクもその一人だ。
障害者にとって、生活すること自体がハードルとなる。ひとり暮らしだと相談相手もいない。困りごとがあっても、何をどこに相談したらいいのかわからない。地域には、行政や民間の相談支援機関もあるのだけど、それを知らなければ利用できない。
そんな人に「ぜひ」と言いたいのが、当事者と家族・支援者たちの会「地域で共に生きるナノ」で行っている高次脳機能障害の地域交流会。
困っていること、悩んでいることなどを、家族同士、当事者同士で一緒に話し合うことができます。人前で話すのが嫌なら電話相談もやってまっせ。
現在、埼玉県の西部を「脳外傷友の会さいたま」、東部を「ナノ」が担当して展開中です。
(詳しくは「地域で共に生きるナノ」のサイトへ)
次回は2010年8月10日(火)、更新予定です。
高次脳機能障害地域交流会は、自由に話すことができる場です。話したくないときはパス。秘密は守られますよ
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