変わってもチョッチよ
脳にダメージを受けると人はどう変わるか。ボクの場合は、あまり変化はなかった(と思っている)。多少、堪え性がなくなった程度。ちょっと怒りっぽくなったかなというくらいだ。自分でコントロールできる範囲でね。
でも、ウェブサイトを見ていると「高次脳機能障害で人が変わった」ということが書かれている。退院したら姿形は同じなのに、見知らぬ人になって帰って来た、等々。家族はびっくりしたというが、そんなことがあるのだろうか。
これはとらえ方の問題だと思う。ボクの例でいうと、硬膜下血腫の手術をした直後は感覚的にいろんな部分が変わっていた。その一つが臭覚で、鋭くなって家に戻ってもいろんな臭いが気になって仕方がなかった。
なかでもアルコール臭には特に敏感で、猪口にちょっと残っているのが、20m程度離れて置かれていてもわかるほど。タバコやその他の臭いも同じ。手術後、禁酒・禁煙が苦もなくできたのはこの“おかげ”です。臭いの感覚が変わるということは味覚も変わるということ。そのこともあり、昔好きだった食べ物を口にしてもそれほどおいしいと思わなくなってしまった。
普通、長い入院から家に帰ってくると、好きなものを用意して快気祝いをする。ごちそう攻めにされるが、それが受け付けられなくなることもあるのだ。せっかく、おふくろの味、昔の好物の味を用意してもらっても、「えっ、なに? こんなまずいもの」と思わず顔をしかめ、不機嫌になることも。すると、「アンタは人が変わった!」となる。
で、僕は自分流『口のリハビリ』も行っている。そもそも味覚というのは、経験で習得するもの。食べたときの味覚は変わってしまっても、記憶には昔の味が残っている。そこで昔の味を懐かしみ、その感覚に合わせるよう、調節・訓練をするのだ。変な味だと思っても、おいしかった味を想像して、少しずつ慣れさせていくわけ。
やけに味気なく感じるようになったトマトもリハビリ中。でも、子どもの頃食べた、青臭いもぎたてトマトの味にまで記憶がさかのぼってしまうので、なかなか効果が出てこないなぁ。
次回は2010年7月13日(火)、更新予定です。
武蔵野線の長大貨物列車は都心を避ける
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