シニアライフと年金(1)~年金を中心とした生活設計を見直す
高齢化の進行に伴い、年金への関心が集まっています。“老後のトラの子”というわけでしょうが、昨年あたりから、加入者の保険料の納付の記録が社会保険庁(現日本年金機構)できちんと行われていなかったり、遊興費やサラ金の借金の返済に充てたりするため、加入者が積み立てた保険料を着服する職員も出て、関心、いえ、不信感は一層高まるばかりです。
このような事態に対し、メディアは「消えた年金」とか、「宙に浮いた年金」などとして批判しています。このため、歴代の自民党の首相は「国民のお一人おひとりについて、1円まで調べ上げ、是正します」などと公言したものの、その約束は守られず仕舞いで、昨年の衆議院選挙で批判票が民主党に回ったこともあって、政権交代になったことはご承知のとおりです。
しかし、民主党政権もその後、「政治とカネ」をめぐる疑惑、また、沖縄の米軍普天間基地の移設をめぐり、地元住民を頭ごなしにした対応に国民から大きな不信感を買い、その事態の収拾に右往左往しています。おかげで、年金改革どころではない迷走ぶり(?)です。
そこで、今月はこの年金について考えてみましょう。夏のボーナスも出揃った折、その使い道も併せ、家族で年金を中心とした生活設計を見直す機会でもあると思います。
■年金は「修正積立方式」で運営
「ヒト・モノ・カネ」とはよくいわれることですが、年金は、その「カネ」のなかでも、老後の生活費として、好むと好まざるとにかかわらず、だれでも現役時代は何らかの公的年金に加入することが義務づけられ、その財源である保険料を納めることになっています。これを「国民皆年金」といいます。
その「国民皆年金」は1961(昭和36)年、自営業を加入の対象とする国民年金法の制定・施行により、世界に誇りうる社会保険として整備されました。その後、たび重なる改正を経て、1986(昭和61)年、北欧の“2階建て年金”を参考に、基礎年金(国民年金)+報酬比例年金(会社員の場合は厚生年金、公務員の場合は共済年金)という新制度になり、現在に至っています。
具体的には、退職した高齢者の年金を現役世代の納める保険料で賄う賦課(ふか)方式、および自分自身が将来の退職後の生活費として年金を受給するため、現役時代、毎月の給料やボーナス(賞与)に応じ、保険料を納める「積立方式」を兼ね合わせた「修正積立方式」が採用されています。
ただし、年金の財源はこのような保険料だけでなく、国庫、すなわち、私たちが国に納めた税金(国税)もその一部として投入されています。そこで、国民全体の問題として議論されているわけですが、年金のシステムそのものが一般国民には理解が難しいものとなっています。その点は次回で説明しましょう。
年金の関心を寄せる国民が年々増えている(徳島にて)
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