揺れる医療制度
■後期高齢者医療制度の廃止
民主党による新政権の政策によると、マニフェスト(政権公約)どおり、後期高齢者医療制度は廃止し、衆議院の1期4年の任期中、新たな制度に移行すべく、まず現行の制度の問題点を解消し、国民の納得と信頼が得られる制度に移行したいとしています。
また、75歳以上という年齢区分による診療報酬の体系については中央社会保険医療協議会における議論を踏まえ、2010(平成22)年度中に廃止するとしています。もっとも、現行の負担軽減措置は継続し、高齢者の安心の確保については引き続き最大限努力するとしています。
具体的には、厚生労働大臣の主宰による高齢者医療制度改革会議を設置し、次のような基本的な考え方のもとでその具体化を図ることになりました。
(1)「地域保険としての一元的運用」の第一段階として、高齢者のための新たな制度を構築する、(2)後期高齢者医療制度の年齢で区分するという問題を解消する制度とする、(3)市町村国保などの負担増に十分配慮する、(4)高齢者の保険料が急に増加したり、不公平なものになったりしないようにする、(5)市町村国保の広域化につながる見直しを行う。
また、この高齢者医療制度改革会議の議論と並行し、国民を対象とした意識調査を実施するとともに、地方では公聴会も開催し、高齢者をはじめ、広く国民の意見を聞きながら検討するとしています。
そのうえで、2010(平成22)年夏をメドに、新たな制度の基本骨格について中間的なとりまとめを行い、同年末をメドに最終的なとりまとめを行ったうえ、2011(平成23)年の通常国会をメドに法案を提出し、2013(平成25)年4月から新たな制度を施行したいとしています。
しかし、「政治とカネ」や米軍の普天間基地の移設をめぐって国民の支持率を大幅に下げ、このほど、鳩山首相が小沢幹事長とともに辞表を提出する事態となったため、きゅうきょ、これを引き継いだ菅新首相がこの問題をどのようにリセットするのか、他の多くの政策課題の解決とともに成り行きが注目されることになりました。
健康チェックなどで医療費の軽減に努めるシニアたち(群馬県・草津にて)
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