シニア世代はエコライフを実行しよう
ところで、温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減する中期目標について、政府は、産業部門をはじめ、家庭部門、オフィスなどの業務部門、さらには運輸や発電などによる国内対策、いわゆる真水と海外からの削減枠の買い取りによって達成すべく、温暖化基本法の制定を検討しています。それだけに、政府はこの国内排出量取引制度だけでなく、環境税の創設や自然エネルギーの拡大など、環境を新たな産業として振興し、雇用創出を図ることも必要です。
また、鉄鋼や電力、および企業寄りの労働組合など、産業界も「環境と経済の両立」の困難さを盾に環境対策に消極的になるのではなく、トヨタ自動車のハイブリッド自動車、「プリウス」、日産自動車の電気自動車「リーフ」などに代表されるような新たな環境ビジネスを開発し、次世代産業の振興や低炭素社会の構築、および地球温暖化に貢献すべく、国との協働によるダイナミズムを期待したいところです。もとより、私たち国民も地球温暖化に協力すべく、政府の試算による毎月6000円以上の家計負担への理解と協力も求められます。
また、地球温暖化に伴う洪水や高潮、干ばつなどによる被災者の続出や海の酸性化に伴い、ウニや貝などの食料が減少し、被害額が年間17兆円以上も出すだけでなく、限られた食料の確保をめぐって紛争が勃発し、貧困が拡大する一方、生物の多様性も失われ、やがて、人類の持続的な繁栄が消え去るともいわれています。それだけに、地道ではあるものの、上述したエコポイント制度などで協力し、低炭素化に協力することが望まれていると思われます。
身近な環境保全への心得
さて、戦後の高度経済成長によって生活を十二分にエンジョイしているシニア世代は今後、この環境問題にどのように向き合っていけばいいのでしょうか。
そのためには、シニア世代のなかには夫婦だけ、あるいは一人暮らしという人たちも少なくないと思われますが、まずは電気はこまめに消すとともに、スーパーへは風呂敷などを持参して買い物に行き、レジ袋は断りましょう。当世、はやりのエコバックも、それを買うこと自体、ゴミのもとです。
また、家電製品やマイカーは簡単に買い替えたりせず、耐用年数まで使用し続けましょう。このほか、遠方からのトラックの輸送や冷凍により、その分、CO2の排出量が増える食料の購入を控え、地産地消に徹して地域の活性化に協力するとともに、買い物は必要最小限のものとし、生ゴミは庭に埋めて堆肥化にしたりするなど、「ゴミゼロ」を心がけてはいかがでしょうか。
このほか、マイホームをバリアフリーに改修したり、老人ホームに入所するため、引っ越したりする場合、ベッドやソファーなどの家具はリサイクルショップに出しましょう。外食や外泊するときは歯ブラシや歯磨き、髭剃り、箸などを持参し、ゴミの減量に努めたいものです。また、蒸し暑い夏場はクールビズに徹することはもとより、衣服はできるだけ長く着て、最後は雑巾などにしましょう。スポーツのナイターや繁華街の夜間照明も思い切って見直してはいかがでしょうか。
いずれにしても、人類の繁栄とその持続を考えれば、今までのぜいたくはもとより、豊かさや快適さ、便利さを多少犠牲にしてでも環境保全を最優先したライフスタイルに切り替えるよう、内外のすべての人々に求められていると思われます。
とりわけ、他世代に比べて「5K」に恵まれているシニア世代は今後、率先してエコライフに努めるとともに、CO2やゴミを排出する商品そのものを生産・出荷させず、環境保護のための政策を推進すべく、国民生活を優先した「新しい公共」をめざし、市民社会の実現に努めるべきではないでしょうか。
“環境新時代”に期待されるシニア世代(群馬・尾瀬にて)
(毎週金曜日の更新の予定です)
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