生涯学習世代のための大学教育の機会の増加を
本サイトの編集氏に昨年春、本サイトの新企画として「時事から学ぶシニア人生」をテーマに、メディアやインターネットで取り上げられた時事問題を通して、シニア世代に対し、今後、アクティブな人生を送るうえで参考となるようなエッセイを執筆していただけないか、と依頼を受けました。
大変光栄なお話でしたが、果たして小生のような者がお引き受けして本サイトを汚さないのか、1年間考えさせていただきました。その結果、これも多くのみなさんとの意見交換、あるいはそれを通じ、勉強できる機会を与えられたのではないかと受け止め、このほど、お引き受けすることになりました。
そこで、お忙しいみなさんには大変恐縮ですが、お時間のあるときに本サイトもお開きのうえ、忌憚のないご意見やご批判、ご叱正をお寄せいただければ幸いです。宜しくお願いします。
相も変らぬ高校別の大学合格者と大学志願者の数の報道
さっそく、その第1回として、今月は入学シーズンなど新たな旅立ちに合わせ、シニアの大学の教育に関連した話をしたいと思います。
皆さんもすでに存知のように、今年度もまた、新聞や週刊誌で、どこの高校からどこの大学に何人合格したとか、どこの大学は志願者が増えた、あるいは減ったといった記事や広告がみられました。
実は、この手の記事や広告は、一時、その是非が論議されて自粛の方向に決まったかと思いきや、近年はまた、同じような記事や広告が紙面を飾っています。なかには特定の大学の入試問題をそのまま掲載している全国紙もありますが、よくみるとその下に予備校の広告が併載されていたりしています。
確かに、少子化に加え、「大学全入時代」の折、多くの大学は少しでも優秀な学生を集め、公務員や一流企業などに就職させなければ経営の安定は保証されません。また、高校も、受験産業も少しでも世間に知られた大学に合格者を出さなければ先行き不安になってしまいます。
シニア世代の大学の合格者や入学者の数、卒業後は
そこで、これからの大学は、旧態依然として高校生など若い世代だけを入学の対象として考えるだけではなく、欧米の大学のように、もっとシニア世代など地域住民の老後の生きがいの促進や社会参加への協力のためにも門戸を開放し、社会貢献に努めるべきではないでしょうか。
なぜなら、シニア世代のなかには高校時代、経済的な理由で大学に行くことができなかったり、定年退職後、現役時代に学べなかった文学や芸術、インターネットなどを教養やスキルとして身につけたい、あるいは起業して地域デビューすべく資格を取りたいなど、さまざまな理由で大学の門をくぐりたいという人たちも少なくないからです。
現に、大学のなかにはこのようなシニア世代のニーズに応え、かつ社会貢献に努めようと、キャンパスのなかや中心街に生涯学習センターを設けたり、市民聴講生制度や社会人入試制度などを導入し、単位化したりしているところもありますが、全体としてはまだまだ少ないものです。
そこで、メディアは、このような向学心に燃えたシニア世代を積極的に受け入れている大学は全国にどれくらいあり、また、どのようなカリキュラムを組んで彼らのニーズに応え、かつ社会貢献にも努めようとしているのか、あるいは彼らの大学の合格者や入学者の数、在学生活、さらには卒業後、どのような“第三の人生”を送っているのかを報道し、「生涯学習社会」の形成に協力してほしいと思うのは私だけではないでしょう。
そうすれば、情報も得やすくなり、シニアの受験者も増加するでしょう。大学としても社会的役割を果たすばかりでなく、経営的にもよくなるでしょう。
サロン(都内にて)
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