弟弟子・立川談大君の死を悼む
2010年11月12日 11:00
●弟弟子で、立川流の二つ目・談大が亡くなった。
享年36歳。早過ぎる死に言葉も出ない。
クモ膜下出血で倒れてから8日間、意識が戻らず、ついに奇跡は起きなかった。
●一緒に前座時代を過ごした仲間だった。
高校時代にはレスリングでならした過去を持っていて、巨躯を見て冗談交じりにオレは、「師匠のボディガードだなあ」と声をかけたのを思い出す。
「兄さん、師匠は面接の時に、『ワコールは優しいヤツだぞ』って言っていましたよ」と話してくれたっけ。
●優しかった。とにかく優しかった。
この世界はぶっちゃけ、「弟弟子には、肉体的暴力以外なら何をしてもいい」と言っても過言ではないほどの、過酷極まる前座修業が前提なのだ。
みんなそうやって育ってきた。
なのに彼ときたら、「談大兄さんには怒鳴られたことは一度もありません」と、どの前座さんも口をそろえて言うほどの男だった。
●無類の格闘技マニアで、
「オレも今、ウェイトトレーニングにはまってるんだよ」
「へえ、ベンチはどのくらい上げるんですか?」
「95キロかなあ」
「すごいっすよ、今僕は50キロも上がりませんよ」
先月か、上野広小路亭での、立川流定席の楽屋での会話が最後となってしまった。
●談大、早過ぎるよ。
オレのお客さんである川越のKさんも、君のここのところの落語の上達振りに目を見張っていたんだよ。
「あいつには将来性がある」って。
めったに褒めないKさんが言っていたんだよ。
オレは君のことを絶対忘れないよ。ゆっくりやすんでね。
合掌。
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