今こそ落語の力!
近頃、いろんな企業や団体様から、講演なるものを頼まれるケースが続いています。
「この不景気だから落語を聞いて笑いたい」という欲求が、日増しに高まってきているのでしょう。してみると、ものは考えよう、この不景気にすら感謝したくなりますな。
私、そんな時はまず一発冒頭で、「悪戦苦闘してもなかなかよくならないのは、成功事例に捉われ過ぎているからではないでしょうか」とガツンとやります。
「この際、少なくとも今日この講演の間だけでも、『成功』の二文字を忘れてみませんか。落語は、成功とは真逆の『失敗』だけで作られているのです」と、さらに続けます。
たしかに、落語は人間の恥ずべき失敗だらけで出来ています。その登場人物も、「だらしなく、酒にも、女にも、博打にも弱い、どうしようもない人たちばかり」なんですな。
これを、師匠談志は、「落語とは人間の業の肯定」とズバリ定義しました。
つまり、「人間の弱さ、醜さ、汚さ、愚かさをすべて認めるのが落語」だと。
つまり、「人間は、元々ダメなものだと訴えているのが落語」だと。
これだけで肩の力が抜けるでしょ?
私もサラリーマン時代、上司からずっと、「成功事例を作って、それを波及することだ」と言われ続け、お得意先様にも同じ姿勢で臨んでいました。
あれから20年。空前の大不況の今、皮肉にも、あのユニクロの柳井社長は、「成功事例を捨去る者こそが生き残れる」とその著書で訴えています。
どうでしょう、ここで私と知り合ったのも何かのご縁、そんな気持ちであらためて落語に目を向けてみませんか?
落語は、「失敗のデータベースに基づく人間工学」、そう「人生のワクチン」なんですよ。
あ、この続きは、ぜひ私の落語会まで。何なら出張もいたしますよ(笑)。
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