晴耕雨読
2009年10月08日 09:00
愛読書は、「宮本武蔵」。もちろん吉川英治の傑作です。
この夏、全8巻、合計4度目にもなる読破をしました。
これ、お読みいただいた方ならおわかりいただけますが、一言で言うならば、若き武蔵が、剣の道を究めようとするビルディングストーリーなんです。
あ、もっとも考えてみたら、ベストセラーとか流行った映画とかって、全部一言で言えますな。
あのリリー・フランキーさんの名著「東京タワー」は、さしずめ「マザコン小説」ですし、名作「フランダースの犬」は「貧乏人と犬が死ぬ話」ですし、世界中が涙した「タイタニック」って、「バアサンの思い出話」ですし(笑)。
ま、「宮本武蔵」、もっとズバッと一言で言うなら、とにかく、「深い!」のです。
脇を固める脇役が見事で、行く先々のチャンバラはまさに「剣劇」ですし、お通という武蔵の恋人の面から見ると「恋愛小説」ですし、悩む武蔵の生き様にスポットを当てると、その根底にある「禅の教え」に通じているし……。
とにかく、多岐にわたって深いのです。
で、それらを統合するような場面こそが、最後の佐々木小次郎との決闘!
吉川英治は、余韻を持たせた終わり方をしています。
彼が頻繁にしたためたという「水心百尺下」という言葉を持って。
その謎解きは、読者に任されるような結末、まだ未読という方、ぜひぜひ体験してみてください。
この小説を熟読することで、自殺をやめた……という人が実際いたというぐらいの、この「宮本武蔵」。
読書の秋に、絶対オススメです。
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