Letter74「納得して生きること」【最終回】
2010年1月から始まったこの連載は、74回目の今週が最終回となりました。1年半の長い期間にわたってお付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございました。
Letter73「旅立ちの場所 その4」
ついにSさんが本音を語りました。その後の出来事です。
私はその件を、連絡をくれた元同僚のRさんと話し合いました。RさんはこれまでSさんがその信仰に注いできた情熱をよく知っており、気持ちを変えることはないだろうと言いました。そこで、本人の意思を尊重し、自宅にいる間にご家族との時間を持つことができるよう手配してくれました。Sさんと疎遠になっていた親族が、ポツリポツリと彼女の元を訪れるようになりました。
Letter72「旅立ちの場所 その3」
医師の提案を頑なに拒否するSさんとの話し合いの続きです。
まずは自宅での療養環境を整えることから始めましょうと相談し、担当のケアマネジャーに連絡を取りました。しかし、ケアマネジャーは一週間後まで何の対応もできないとの返事でした。
Letter71「旅立ちの場所 その2」
それまで抗がん剤治療を受けてきた病院から、別の病院を探すよう言われたSさんは、一人暮らしでした。昔の仕事の同僚のRさんが心配して、医療コーディネーターを探し、依頼の電話をかけてきました。私はRさんと電話で簡単に話をしたところ、Sさんはかなり体力が低下しているだろうと予測できました。Sさんの体調次第で、今後の療養場所や治療の再開の検討など、提案する内容は変わってきます。とにかくまずはご本人に会わなければと、依頼のあった翌日に私はSさんのお宅へ向かいました。
Letter70「旅立ちの場所 その1」
在宅医療をご存知でしょうか? 住み慣れた我が家で医療を受けながら過ごすことを実現するものです。主に往診医と訪問看護師が24時間365日対応で活躍します。栄養補給や痛みのコントロールなどを中心に医療行為を行い、ご自宅で自分らしく過ごすことを支援します。積極的な延命行為はしません。