Letter61「複数の治療法から一つを選ぶようにいわれたが… その1」
2011年03月23日 10:00
医療コーディネーターの実践を通してまとめた「患者が悩む意思決定トップ5」のなかから、今回から、「医者に複数の治療法を示され、そのなかから一つを選ぶようにいわれても、現実にはなかなか決められない」ことについて実際の相談事例をもとに解説します。
医療コーディネーターに寄せられる治療法に関する相談は、ほぼ2種類に集約されます。一つ目は、「○○という治療法を勧められたが、本当にそれでよいのだろうか?」という相談。二つ目は、「○○、△△、□□といくつか治療法があるが、そのうちのどれがよいか、次回の受診までに決めておいてくださいと言われたのだが、選べなくて困っている」という相談です。
インフォームドコンセント(納得できる医療を患者自身が選択すること)の広がりに伴い、医療者は必要な情報を提供し、患者さん自身が意思決定をするという流れが重視されてきています。しかし、選択肢があれば人は決定ができるのでしょうか。残念ながら、簡単なことではありません。
人が何かを決める際には、一般的な情報だけでは不十分です。その情報を自分自身に当てはめて考えてみることが必要となります。つまり、○○という治療法についての概要が理解できることは重要ですが、それ以上にその治療法が自分にとってどのようなメリット、デメリットを招くのかを知る必要があります。また、医師との信頼関係も重要です。この先生なら一緒に治療に向き合えるというものです。つまり、治療する医療者との信頼関係をいかに作っていくのかという点もおさえる必要があります。
こうした点を中心に、次回からは実際の相談事例をご紹介します。
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