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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter57「私が受けたい治療に家族が反対している その4」

 前回の続きです。Bさんはがんの手術後で、再発していることを医師から告げられました。RさんはBさんの娘です。Bさん夫妻は主治医を信頼していましたが、Rさんは違いました。

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 Rさんは父であるBさんに、都心の大学病院でラジオ波という治療があること、再発を見落とし、何の治療もできないなどという今の主治医の元で治療を受けていても良くはならないと思うことを伝えました。しかし、Bさんは何も答えません。Bさんの妻は、Rさんが「再発を見落とした」と言ったことについては非常に共感し、「真面目に外来に通っていたのにひどすぎる。もっと良い医師にかかるべきだ」と発言しました。それでもBさんは何も答えません。そこでRさんは医療コーディネーターに質問しました。Bさんのがんの専門医はどこにいるのか? ラジオ波の名医はどこにいるのか? ラジオ波はBさんに効果があるのか? という質問でした。
 私は、専門医の資格を持っている医師を探すことができること、ラジオ波の治療数が多い病院も調べることができることを伝えました。また、ラジオ波の効果に関しては、個々の状況によるので、Bさんのがんがどのような状況なのか、再発と一言で言っても幅があり、もっと情報がないと判断のしようがないことを伝えました。そして、Bさんに、もっと詳しく治療の経過や現状を教えて欲しいと伝えました。
 そこでBさんは、ぽつぽつとこれまでのことを話し始めました。今回のがんが見つかった時は、救急車で運ばれそのまま入院した時だったこと。はじめはお腹が痛くてがんだとは分からず、手術をしてみて始めてがんだと分かったこと。病院に行ったときは命に関わるような状態であったこと。手術が終わった時は、医師も看護師も皆、命が助かって良かったと喜んでくれたこと。しかし、術後の経過が悪く、数か月入院が長引いてしまったこと。やっと退院できた時には心底ほっとして、もう2度と入院したくないと思ったこと。定期健診にはきちんと通っていたこと。出された薬はきちんと飲んでいたこと。という状況が分ってきました。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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