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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter56「私が受けたい治療に家族が反対している その3」

 前回の続きです。Bさんはがんの手術後で、再発していることを医師から告げられました。RさんはBさんの娘です。Bさん夫妻はRさんに病気のことについて心配をかけたくないと思っていました。また、医師のことを信頼していました。

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 しかしRさんは違いました。これまで真面目に外来通院をし、決められた薬は飲んできたと両親は言っています。それなのになぜ再発するのでしょうか? また、これ以上治療できないとはどういうことなのでしょうか? 東京郊外に住んでいるから医療格差があるのでしょうか? 東京の専門病院へ行けばもっと最新の治療法が受けられるのではないか、再発したのはこれまでの診察に見落としがあったからなのではないか、そう思いました。そこでたくさんの書籍を買い込み、インターネットで情報収集を始めました。そして医療コーディネーターを見つけ、相談を持ち込みました。

 Rさんの相談内容は「父(Bさん)は治療を諦めています。父に都会の病院で最新の治療を受けてもらうよう説得してもらえないでしょうか?」というものでした。医療コーディネーターは家族からの相談はお受けしますが、治療を受けるか受けないか、といった医療に関する意思決定はあくまでも医療を受けるご本人が行うものであると認識しています。そのため、Rさんの提案を受けることはできないとお伝えしました。その代わり、RさんとBさんご夫妻で今後の治療について話し合う機会に同席するので、Rさんの考えをBさんに伝えてみてはどうかと提案しました。Rさんは家族だけでは纏まらないこともあるから、と言ってこの提案を了承しました。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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