Letter55「私が受けたい治療に家族が反対している その2」
2011年02月02日 10:00
前回、病気の相談をする人の8割が女性で、患者さん本人の場合が半分、家族からの相談の場合が半分という構成になっていることをお話ししました。そこで今回は、患者さんはお父さんで相談者は娘さんという方からの相談内容をご紹介します。
Bさんは、がんの手術後半年が過ぎました。東京の郊外で、夫婦で自営業を営んでいます。主治医との関係は普通で特に不満はありません。Bさんの娘Rさんは近所に住んでおり、父であるBさんが病気をしてからは、両親を心配して頻繁に家に顔を出すようにしていました。Bさんは、最近食欲がありません。病気のことを聞いても「大丈夫」としか言いませんが、Rさんは心配でたまりません。母に外来受診のときの様子や、医師からの説明はどうなのか尋ねてみても「難しいことは分からない、大丈夫だと言っていた」と言うだけで要領を得ません。
ある日母から、「次回の外来は一緒に行って欲しい」と頼まれました。外来で診てもらっている医師から、「次回の外来はお子さんに付添ってもらってください。話したいことがあります」と言われたとのことでした。Rさんは何か悪い話があるのだろうと覚悟して外来に付添いました。Bさんが退院してから病院には行っていませんでしたので、担当の医師にはこのとき久し振りに会いました。
医師はBさん夫妻とRさんに、「がんが再発しています。治療は今のところなく、このまま様子をみていくことになります」と言いました。医師は続けて再発の内容を細かく話しましたが、最初のショックが尾を引いて、後半の話はほとんど耳に入りませんでした。医師は非常に話しやすい人で、質問にも丁寧に答えてくれる人でした。しかし、この日は何も聞くことができず3人は帰宅しました。
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