Letter52「もっといい治療はないか? その3」
「もっといい治療」を求めるのであれば、まずは現状を知ることから始めなければなりません。しかし医療に詳しくない人であれば、現状を知るために何を知ればよいのか分からない。分からないことが分からない、という状況に陥ることは当然です。そんな時には、医療に詳しい第三者が関わることが有効な手段となり得ます。親戚でも、友人でも、医療コーディネーターでも結構です。医療に詳しい人間を相手に、まずは自分が何を分かっていないかを語り、整理していきましょう。
そこで先出のAさんと娘さんの話に戻ります。医療コーディネーターがAさんの病状の経過と現在の状況を娘さんから聞き取ってまとめみると以下のようになりました。
(1)「脳出血を起こした脳の場所から考えて、後遺症として飲み込む機能が悪くなることは十分予測されます」と、病気が判明してすぐに医師から伝えられた。
(2)今回肺炎で入院するまでの間にも、何回かむせて肺炎になりかけたことがあった。
(3)体調が悪い時には食事だけでなく、唾を飲み込んでもむせることがあった。
(4)どんな検査か詳細は分からないけれど、飲み込みの検査は入院中にいくつか行ったようで、その結果は「口から食事をとることは難しいのではないか」というものだった。
(5)今回の肺炎はかなり重症で、一週間以上熱が下がらない状態であり、医師からは「万が一のこともあり得ると言われている」とのことでした。
特に(5)に記した肺炎の件では、医師から「近々、主な家族全員に改めて今後のことを話したい」との申し出があったそうです。娘さんは、医師は肺炎が治ったらどこで療養したいのか、つまり治ったらすぐに病院を退院してほしいという話を持ちかけてくるものと予測していました。そのため、急いで次の転院先として、よい病院探しをしていたとのことでした。
しかし医療コーディネーターの意見は違いました。肺炎の症状を聞いていると、転院というよりは今後悪化した場合の対応について医師は話がしたいのではないかと推測したのです。
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