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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter51「患者が悩む意思決定トップ5 もっといい治療はないか? その2」

 前回は、脳出血後の誤嚥性肺炎を繰りかえすAさんの娘さんから、今の病院では完治は望めないと言われたので、リハビリを専門に行っている病院へ転院したい、後遺症を治してくれるよい病院を紹介して欲しいという相談がありました。今回はその続きです。

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 まず、このような相談があった時に、私がAさんの娘さんにできることを考えてみましょう。

(1)食べ物を飲み込む機能を取り戻すためのリハビリを専門に行っている施設を紹介すること
http://www.peg.or.jp/hospital/engelist.html

(2)食べ物を飲み込む機能を取り戻すための看護を専門に行っている看護師が所属する病院を紹介すること
http://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/nintei/touroku/show_unit.cgi?category=%93%8C%8B%9E%93s&mode=search2&cond=and&subcategory=%90%DB%90H%81E%9A%8B%89%BA%8F%E1%8AQ%8A%C5%8C%EC&submit.x=52&submit.y=10

(3)脳卒中治療ガイドラインを紹介し、飲み込みが悪くなるという後遺症に対する標準的な対処法を紹介すること
http://www.jsts.gr.jp/jss08.html

 「もっとよい治療はないか?」と問うている娘さんに、医療コーディネーターは専門的な施設・人材・知識を紹介することができます。しかし、それだけで問題は解決されるのでしょうか?

 例えば、娘さんが(1)や(2)のリストの中から最もよいと思われる病院を探すことは容易でしょうか? (3)を読みこなし、標準的な対処法が今の病院でAさんになされているかを判断することはできるでしょうか? また、仮に目ぼしい転院先を決めたとしても、今の病院をすぐに退院して転院することがAさんにとって本当によい選択なのかどうかを判断することは困難なことでしょう。

 言葉では「もっとよい治療」と表現していても、実際の悩みや不安は個別具体的なものです。また、「もっとよい」ものを探したいのであれば、まずは現状を正確に把握することが大切です。しかし多くの場合、患者さんやご家族が現状を把握するだけの情報を持っていない、もしくは現状を理解できていないのが現実なのです。

 主治医がAさんにどのような治療方針をもって臨んでいるのか、治療の効果はどの程度あったのか、後遺症のリスクや期間はどの程度なのかなど、まずは現状を知るために、主治医からの情報収集が大変重要になります。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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