Letter49「患者が悩む意思決定トップ5 その1」
今年の秋で、私が患者支援活動を始めてちょうど10年が経ちました。医療コーディネーターとしては7年半になります。病院職員という立場を離れて患者さんと接することで、見えてきたものがたくさんありました。病院では言えないけれどこんなことに悩んだ、あんなことが不安だという訴えは数多く、多数の「患者の本音」に触れることができました。
このような経験をもとに、患者さんが医療を受ける際に医師から自分で決めるようにと言われても簡単には決められないことや、どうしたらよいのか分からないけれども病院では聞けないといった悩みを大きく五つに分けてまとめてみました。それが「患者が悩む意思決定トップ5」です。
患者が悩む意思決定トップ5
『もっといい治療はないか?』
『私が受けたい治療に家族が反対している』
『医者に、どの治療法がよいか、と聞かれたが決められない』
『そもそも西洋医学だけで良いのかと思っている』
『突然のことでパニックになり、どうしたらよいかわからない』
これら五つの悩みは、一つひとつが独立しているのではなく、複数の悩みが複雑に絡まり合って存在します。また、「自分はこれに悩んでいる」と患者さんが明確に意識している場合は実際には少ないものです。医療コーディネーターが患者さんの悩みや不満、不安に耳を傾け、受診や療養の経緯を丁寧に聞き取っていくなかで、初めて「悩み」が明確化され、浮かび上がってくるのです。
「悩み」が明確になるまでに一時間程度の聞き取りで十分な方もいれば、何度も面接を繰り返す人もいます。また、悩みが分かっても、それを受け入れるまでに時間がかかる人もいれば、何に悩んでいたのかが分かっただけですっきりと解決してしまう人もいます。
次回からは、これらの悩みそれぞれに対して、分かりやすい事例をご紹介していきたいと思います。
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