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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter40「お金の不安に応える強い味方―生命保険(2)」

 今回はリビングニーズ(生前給付金)についてご紹介致します。

 最近はテレビや新聞でも「がんとお金」に関する話題を目にすることが増えてきました。私が先日お会いしたYさんは「乳がんになったけれど、特殊な抗がん剤治療を受けると非常に高額になる、と先日テレビで見ました。私はその治療を受けるのでしょうか? 家族に迷惑をかけるのであれば、初めから治療を諦めた方が良いのかもしれないと考えています」と悩んでいらっしゃいました。

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 この方のお話にでてきた「特殊な抗がん剤」とは、ハーセプチンという「分子標的薬」と呼ばれる新しいタイプの薬です。この薬は、1カ月あたりの治療費が従来の抗がん剤治療より2~6倍も高いと言われています。

 再発・転移した患者さんは、残念ながら完治することが難しいため、「治る」ことではなく、今ある時間をできる限り良い状況で過ごすことを目標とした治療方針となります。そのため、治療に終わりはありません。高額な治療であればあるほど、将来への不安は増大し、金銭的な負担も増していきます。

 そこでリビングニーズ特約に注目したいと思います。この保険は、本来死亡後に支払われる保険金を、生前に受け取ることで、人生の最後に悔いのない時間を過ごすこと、経済的な問題を解決し十分な治療を受けられることを目的として考えられました。

 ただし、受給の条件は余命6カ月と診断をされた場合です。ここにこの保険の難しさがあります。患者さん本人が余命を知ることが良い場合に働くこともありますが、もちろん思いがけない方向に進む場合もあります。また、余命6カ月を診断する、というのは臨床では非常に難しいことであり、医師の側にも診断書を発行できない、という判断を下される方もいらっしゃいます。

 ただこの保険を上手に使うことで、お金の心配をせずに治療を継続し、余命を超えて生きていくことを目標にしている方もいらっしゃいます。うまく利用すれば非常に強い味方となる保険だと思います。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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