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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter38「休日外来でがんの早期発見を」

 この連載をお読みになっている会社員の40代の皆様。40代といえば働き盛り。家庭では父親や母親である方も多く、公私ともに時間に追われて「忙しい」が口癖という方も多いと思います。一方40代といえば、体力の低下を実感し始め、メタボ検診の結果が怖い、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

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 さて皆さま、最近健康診断は受けましたか? 受けた方、結果はいかがでしたか? 健康のお墨付きをもらった方は良いのですが、もしも「要精密検査」と告げられたら、どうしたら良いでしょうか?

 精密検査を受けに行くような大規模な病院は、一般社会とは違って平日の日中、場合によっては午前中しか受診できません。お勤めの方は休暇を取って、お子さんがいる方は世話をして下さる方を手配して、なるべく早くに受診することが理想ではありますが、現実はそう簡単ではありません。忙しさを理由に検査は延ばし延ばしにして、そのうち忘れてしまう、なんてこと思い当たりませんか?

 国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)では、進行したがんの治療を受けている若い患者が目立っていたことから、患者年齢と、がんの進行度との関係(2008年度)を分析しました。すると、60歳未満、特に40代は初めて受診した時点で病状が進行した状態で見つかる割合が大きいことが分かりました。

 ひょっとすると、日々の忙しさから精密検査を引き延ばした結果、がんが進行してしまったという方が、40代の方では他の年代の方より多いのかもしれません。。。

 そこで国立がん研究センター東病院では、昨年の10月から休日外来診療を始めました(http://www.ncc.go.jp/jp/ncce/information/holiday_gairai.html)。がんではないかと心配な方、健康診断で精密検査を勧められた方が主な対象です。原則として事前に電話での予約が必要となりますが、医療機関の紹介状がなくても受診することができます。診療開始から5か月間に受診した人の2割弱が、がんと確定診断され、治療に入ったといいます。また、多くの方は比較的初期の段階で見つかったそうです。

 「忙しい」を理由にせずに、思い当たることがある方は次の日曜日、早速検討してみてはいかがでしょうか? 後悔先に立たず、です。

(『朝日新聞』2010年9月8日「マイタウン千葉 日曜外来で早期発見に成果 国立がん研究センター東病院」より一部引用)


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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