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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter34「手術の同意人・立会人は必ず必要ですか? その1」

 前回、前々回に引き続き、病院に関してよくある質問をご紹介します。

 今回は、手術を受けることが決まり、同意書にサインを求められた時のお話です。患者さんが病院で手術を受けることが決まると、医師より手術の目的・術式・合併症や後遺症について・入院期間などについて説明を聞きます。
 患者さんは説明を聞いて、手術に必要な情報を十分聞き、納得して手術を受けることが出来ると判断すれば、「同意書」に署名捺印をします。これは「私は納得して手術治療を受けます」という意思表示の書類となります。

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 この時、説明をした医師から、「患者さん以外に家族の同意も必要です」と言われます。また、手術当日、手術をしている時間はずっと家族に病院で待機していてもらう必要があると言われます。しかし、もしも患者さんに頼める家族がいない場合はどうしたら良いのでしょうか? 友人や知人に同意書を書いてもらっても良いのでしょうか?

 病院側が手術の同意や手術中に親族に待機しておいてもらいたい、という理由は法的免責です。なぜなら、手術は身体へ及ぼす影響が他の処置に比べて大きいからです。
 手術や麻酔の後遺症というのは他の処置の後遺症よりも重くなる場合が多いです。また、手術をしてみたら事前に予測していた以外のことが起こり、事前説明にはない処置を行いたいということが起こり得ます。人間の体は予想外のことが起こるからです。
 そのため、重い後遺症が患者さんに起こった際に、患者さんはきちんとその事実を知っていて、その上で手術を受けたのだ、後遺症が出る可能性も理解した上で手術を受けたのだと言うことを保証する人が患者さん以外にも必要、それも家族であればそうした返答をした責任も一緒に持つだろうということで家族を希望します。

 また、手術中に不測の事態が起きた場合は、待機している人に同意を得る必要がある場合もあります。また、不測の事態が起こり、意識のない本人に代わって意思決定を下す必要が起こった際に、親族であれば、その後患者さんが目覚めた時に行った処置の内容に関して起こるトラブルが少ないのではないかと思い、親族を希望します。

 それでは、病院側はどのようなトラブルを恐れ、このような決まりを作っているのでしょうか? 
 次回、事例を用いて説明したいと思います。


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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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