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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter33「入院時の保証人・身元引受人は必ず必要ですか?」

 先日、「入院が決まった時に困ったことになったので相談にのって欲しい」と問い合わせがありました。

 Kさんは、検査のために一泊入院するよう主治医から勧められました。そこで入院手続きの窓口へ行くと、入院するためには保証人が必要であると言われました。
 しかし、Kさんは独身。近所に親戚はいるが、Kさんとの関係は悪く、気軽にお願い事はできません。Kさんはこれまで何十年も会社勤めをしており、一泊二日の入院費が払えないような経済状態ではありません。
 こうした場合、保証人は必ず立てないと入院できないのでしょうか? また、親戚ではなく、友人や知り合いでも良いのでしょうか?

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 民法446条によると、「保証人」とは「病院にあらかじめ支払う代金を預けるかわりに、自分が費用を支払えないとき、代わりに入院にかかる費用を支払う人」のことをいいます。「身元引受人」という言葉を使う場合もあります。
 これは各病院によって取り決めが異なります。保証人を親族にして欲しいというところもあれば、それ以外の人にして欲しいというところもあります。
 そのため、保証とは「何を」「どこまで」保証するという意味なのか、など、確認する必要があるでしょう。保証人は、入院する当事者の代わりに入院費用を支払うことができること、というのが条件ですから、収入がある人でないと保証人になれません。
病院に事情を話して事前に保証金を預けることで保証人が不要になるケースもあります。

 ただ病院側としては、入院している最中に本人が動けなくなった場合や意識に障害が生じた場合の入院費用の支払いなどは、本人の許可がないまま勝手に銀行口座から引き落とすことが出来ませんし、万が一亡くなられた場合のことも考慮すると、心理的に家族の方が有難いのです。
 亡くなられた場合の手続きは他人でも出来ますが、家族が見送って欲しいという病院側の気持ちが捨て切れないという事情があるようです。

 このように病院によって方針がまちまちです。病院には大抵、患者相談室や医療相談室などに医療ソーシャルワーカーがおり、このような相談をすることができますので、事前に確認すると良いと思います。

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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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