Letter30「タイプ別:医者の選び方(2)」
前回は、Gさんが医師とのやり取りの中で感じたコミュニケーションのしづらさについてお話しました。
今回は、Gさん、今の病院の主治医、最初に受診した近くのクリニックのD医師の3人を「患者の主体性と医療への満足度についての調査(2004)」(調査主体:株式会社NTTデータシステム科学研究所 http://www.nttdata.co.jp/release/2004/071600.html )の結果に照らし合わせ、医師との間のコミュニケーションがなぜ難しかったのかを考えてみたいと思います。
この調査では、医師と患者をタイプ別に振り分け分析しています。
まずは患者さんのタイプについてご紹介します。
比較的重い病の治療法を決める際、以下の(1)(2)のようなタイプに分かれるとしています。(1)、(2)の両者で95%を超えています。
(1)「説明・納得タイプ」54.9%
説明・納得タイプとは、専門家である医師の決めた治療方法について十分な説明を聞き、納得した上で治療を受けたい人。
(2)「自己決定タイプ」40.7%
自己決定タイプとは、治療について、十分に説明を聞き、複数の選択肢を提示してもらった上で、自分自身が治療方法を選択したいと考える人。
Gさんは、D医師に紹介された病院だけではなく、別の病院でも話を聞きたいと考え、自分の病気はどこに出来ている何なのか、例え治療に直接関係しなくてもきちんと聞いておきたい、という方だったため、(1)説明・納得タイプであると考えられます。
かたや、医師の方のタイプはどれに近かったのか考えてみます。
治療法を決定する際の担当医の姿勢としては、以下のタイプに分かれるとしています。
(1)「医師主導・説明同意ありタイプ」52.8%
医師主導・説明同意ありタイプとは、医師が治療法を決定し、患者に説明し同意を得るタイプ。
(2)「医師・患者パートナータイプ」32.9%
医師・患者パートナータイプとは、医師が複数の治療法を説明し、患者と相談しながら治療法を決定するタイプ。
(3)「医師主導・説明同意なしタイプ」9.7%
医師主導・説明同意なしタイプとは、医師が患者にとって最良だと考える治療法を、説明や同意を経ずに決定するタイプ。
Gさんの主治医とD医師は両者とも、(3)医師主導・説明同意なしタイプであったと考えられます。
これら担当医のタイプと、患者の医療への満足度の関係を調べたところ、Gさんの主治医の「医師主導・説明同意なしタイプ」で「満足」(「満足した」「ある程度満足した」の計、以下同様)が74.8%であり、他のタイプと比較して低い(対象者全体では85.9%)ことが分かりました。特にDさんは説明納得タイプであったことも合わせて考えると、医療への満足度はかなり低いものであったと考えられます。
Gさんは、自身の言動が医師を不機嫌にさせてしまったと自分を責めておられましたが、そもそも両者の間にはコミュニケーションギャップが生じやすい関係にあったと考えられます。Gさんの言動は、医師のタイプが違えば特に問題なく受け入れられるものであったのかもしれません。
万人にとっても名医はいない、自分にとっての名医を探すことが大事。そのためには医師との相性が重要だ、とこの連載でも何回か書かせて頂きましたが、その理由の一端がここにあります。今回の患者医師タイプの表を、あなたと医師の相性判定に活用してみるのはいかがでしょうか?
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