Letter29「タイプ別:医者の選び方(1)」
先日、手術のための入院を一週間後に控えたGさんからご相談がありました。
主治医とうまくコミュニケーションが取れなくて困っている。外来を受診した際に、「自分の病気は悪いものなのか? がんは右と左どちらにあるのか」と質問しても、「手術してみないと分からない」「どこに出来ているか分かっても、あなたには関係ないでしょう」との返事で、結局何も教えてもらえなかった、と訴えます。
しかし、手術日はもう来週に迫っています。どう気持ちの整理をつけたら良いのか分からない、不安だ、という相談でした。
私がGさんの相談を聞いていて思ったことは、なぜ主治医の説明に疑問を持った時にセカンドオピニオンを受けようと思わなかったのか、ということでした。病気について聞きたいことを主治医に答えてもらえないのであれば、別の医師から聞いてみたいと思うのはごく自然なことです。
ひょっとしたらGさんはこれまでにセカンドオピニオンで嫌な思いを経験したのではないか、と私は思いました。もしそうだとすれば、その部分を解きほぐしていかない限り、Gさんが納得することは出来ないと考えました。
そこで、Gさんとセカンドオピニオンについて話しました。すると、こんな話が聞けました。
Gさんの病気が始めに見つかったのは、近所のクリニックでした。そのクリックのD医師が今の主治医を紹介してくれました。その際に、GさんはD医師に、紹介先の病院以外も受診してみたいと言いました。するとD医師は「どこの病院に行ったって治療内容は変わらない」「あちこち行って治療が遅くなっても良いのか!」とものすごい剣幕で怒りだしたそうです。
Gさんは、D医師に言ってはいけない、失礼なことを言ってしまったのかと思い、ひどく悲しくなってしまったそうです。そして、これから治療を受ける主治医には、同じように気分を害してもらいたくない、そう思うとなかなか質問もできなかった。ようやく勇気を振り絞って聞いた質問だったが、答えてもらえず、また反論することも出来ずに悩んでいたのでした。
私は、D医師と主治医はどちらも似たようなタイプの医師だと感じました。そしてGさんは、彼らのようなタイプの医師では治療に納得することはできないのだろうと思いました。
比較的重い病の治療法を決める時、意思決定する患者さんは3つのタイプ、医師は4つのタイプに分かれ、担当医のタイプと、患者の医療への満足度は関係があるという調査結果があります。
(NTTデータシステム科学研究所「患者の主体性と医療への満足度についての調査(2004)」結果について.http://www.nttdata.co.jp/release/2004/071600.html より)
次回はGさんのケースをこの調査結果を元に考えてみたいと思います。
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