Letter21「患者さんの強い味方:看護師を知っていますか?」
皆さんの看護師のイメージというのはどのようなものでしょうか? 病院で白衣を着て忙しそうにしている人。注射や包帯を巻いてくれる人。などなど、色々あるとは思いますが、どれも白衣を着て、病院などの建物の中にいる人、というイメージではないでしょうか?
最近は、訪問看護師のように自宅に白衣を着ていない看護師が来るサービスも少しずつ定着してきているとは思いますが、まだ皆さんになじみがあるとは言い難いようです。
私自身も看護師資格と助産師資格を持っています。とはいえ普段は白衣も来ていなければ、病院の中にもおりません。医療コーディネーターと名乗って、名刺を持ち、スーツを着て、患者さんのご自宅や病室、病院の外来やホテルのラウンジなど、どこにでも出没して相談を受けています。
ここ10年ほどで、看護師の働き方は飛躍的に変化しています。その一番の理由は、医療崩壊と言われるように医療現場がとても忙しく、一般の医療機関では受けてもらえないサポートを患者さんや家族が求めている、という点にあると思います。患者さんの思いを形にしたい、そう思って活動を始めた看護師たち。その活動はどんどん幅を広げています。
そこで今回は、多様な看護師の活躍をナースオブザイヤーというイベントの結果からご報告致します。
ナースオブザイヤーとは、市民が看護に求めていることを実践している方にナースオブザイヤー賞を、新たな可能性を感じさせる看護師にインディペンデントナース賞を授与しているイベントです(実は私も運営に関わっています)。
そこで今年両賞に選ばれた方たちをご紹介致します。
まずは、ナースオブザイヤー賞1位に選ばれた森松靜さんです。森松さんは、特定医療法人平成会井上病院の看護部長です。
井上病院は、救命センターやICUなどの高度医療機関から、人工呼吸器を外すことが難しい患者さんをお受けして、呼吸器を外すことを試みる病院です。その成功率は30%を超えており、このような試みを行う病院は、残念ながら全国でたった一つしか存在しない専門病院です。
森松さんの働きで、この病院は高度医療機器を数多く扱っているにも関わらず、ベッドサイドの電子音は必要最低限しか鳴らないように工夫され、患者さんも家族も、穏やかな時間が過ごせるよう工夫されています。投票のコメントを一つ紹介します。
『患者さんたちの「生きている心」のケアにつとめ、心で何かを感じてもらおうとしています』
2位は、東海林朝子さんです。東海林さんは、在宅重症心身障害児訪問看護事業 訪問看護師。難病のこども支援全国ネットワーク電話相談員です。心や体に重度の障害を持つお子さんがお家で家族と共に過ごせるよう支えることが専門の訪問看護師であり、難病を持つお子さんのための電話相談員でもあります。
東海林さん自身も重度の障害をもったお子さんがおり、看護師によくある押しつけの指導をせず、生活者の思いと、自己決定を大切にするナースとして活動を評価されました。投票のコメントを一つ紹介します。
『医療にとって正しいことが、必ずしも患者にとって楽しいこと(=正しいこと)とは限らない。でも、楽しいだけでは生きていけない、そんなことに気づかせてもらえる、安心感が伝わってきた』
他にも素敵な看護師が受賞されています。次回も引き続き看護師の活動紹介を致します。
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