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岩本ゆりの「病気との付き合い方~医療コーディネーターからの手紙~」

Letter 8 「セカンドオピニオン取得する際のコツは何ですか? ~その2~」

 今日ご紹介するセカンドオピニオンのコツその2は、実際にセカンドオピニオンを取りに行った際に気を付けるべきことです。

 2つ目のコツは、『本音で話すこと』です。

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 前回のお手紙では、1つ目のコツはセカンドオピニオンで『何を聞きたいか』をはっきりさせること、と述べました。何を聞きたいのかがはっきりとしたら、次のステップはセカンドオピニオン先の医師に、聞きたいことを明確に質問することです。

 診察室に座ったら、「こんな質問をしても良いのだろうか?」「前医への遠慮があって本当のことを話してくれないのではないか?」などの悩みは忘れましょう。医師と患者の間も日常の人間関係と同じです。相手の本音を引き出すためには、まず自分が心を開き、コミュニケーションが良好になるよう働きかけましょう。

 医師の説明が分からない時は、何が分からないのかを具体的に伝えましょう。医師にしてみれば、初めて診察に訪れた患者さんが、基本的な言葉から説明が必要なのか、専門的な医療情報をお持ちの方なのか区別がつきません。患者さんが分かるように説明したいと思っていても、どの用語が分かるのか、分からないのかが、分からないのです。

 このような例がありました。

 首の骨のヘルニアが原因で、腕から下に力が入らなくなってしまった患者さんがいました。彼女が入院した病院の医師からは、手術をしても成功する確率は非常に低いため、リハビリを受けるように専門施設に転院した方が良いという診断を受けました。しかし彼女は若く、手術を諦める気持ちにはなれずにいました。
 そこで、手術を積極的に行っている病院へセカンドオピニオンを受けに行きました。しかし、セカンドオピニオン先でも診断結果は同じでした。その時彼女は言いました。
 「私は諦めたくありません。どうしても手術をしたいのです。結果はだめでも良いのです。やるだけのことをやりたいのです」
 と涙ながらに訴えました。するとセカンドオピニオン先の医師は「成功する確率が低いということを理解できているのであれば、手術をするという選択もあると私は思う」と言いました。彼女の率直な思いが、医師から新たな情報を引き出したのです。

 この事例の場合、大切なことは患者さん自身が受ける治療の欠点(デメリット)を正確に理解していたことでした。理解しているということを医師が確認できなければ、「手術の可能性がある」という意見はなかったのではないかと思います。

 自分の不安や悩みを率直に、分かりやすく表現することで初めて、通り一辺倒ではない相手の言葉を引き出すことが出来ることでしょう。

 次回もセカンドオピニオンの取り方についてです。3月10日の更新の予定です。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
岩本ゆり
(いわもと ゆり)
看護師・医療コーディネーター、NPO法人楽患ねっと副理事長。楽患ナース株式会社取締役。1995年東京医科大学病院産科病棟、1999年東京大学病院婦人科病棟、特別室・緩和ケア病室を経て、2002年NPO法人楽患ねっと開設、2003年医療コーディネーター開業、現在に至る。
2008年フジサンケイ・大和証券グループ Woman Power Project 第7回ビジネスプランコンテスト優秀賞2003年日本看護協会広報委員就任。
主な著書は『あなたの家にかえろう』(共著、2006年)、『患者と作る医学の教科書』(共著、日総研出版2009年)など。

私は看護師として、患者さんが落ち込んだ時も、前向きな時も、患者さんの人生の傍らに寄り添い、その力となる存在であり続けたいと思います。読者の方々のご相談もお待ちしています。
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