記憶がなくなるまで飲んでも、なぜ家にたどり着けるのか?
本書は、お酒がどのような影響を脳にもたらすのかを、お酒の飲めない川島隆太と、底なしの泰羅雅登が脳科学の観点からそれぞれの言い分を主張しています。適度なお酒は百薬の長という泰羅教授と、一滴のアルコールでも体によくないとする川島教授。アルコールを介すると脳科学者の意見も分かれてきます。
なぜ、人がお酒を飲むのか。それは「酔い」たいからです。アルコールは脳の機能を麻痺させ、その麻痺のさせ方がどんな薬よりも絶妙なのだそうです。じんわりと大脳皮質に染み込み、普段は自分を律している前頭前野の機能を緩めてくれます。その作用が「酔い」であり、その絶妙な麻痺を求めて人はお酒を飲むのです。しかし多量のアルコールを摂取して酔いが進むと、記憶を失って…ということになってしまいます。絶妙な麻痺の状態でずっといたいと思うものの、ついつい飲みすぎてしまうのはなぜなのか、そんなことも本書を読むと分かるようになっています。
ふむふむと思いながらも、呑み助には痛い所をつかれる本書。自分の健康と周りの迷惑を考えて、ほどほどにしなければと思わせられる1冊です。(byたつのすけ)