塩の道
なかでも、タイトルにもなっている「塩の道」が日本人にもたらした影響には、想像を超える面白さがあります。塩がどのようにつくられ、どのように運ばれ、その先どのように他のものに影響を与え発展したか、読み進むうちに、有機的に絡み合い広がる、文化の編み目に絡め取られそうになります。かつて日本中の土地は穏やかに、とても豊かにつながっていたようです。
宮本さんは日本の文化を「軟質の文化」といいます。既存のものを杓子定規にそのままとらえるのでなく、その風土にあった有用なものをそこから工夫し生み出す、しなやかな考え方です。
なるほど、日本製品がどこか外国の模倣と揶揄されながらも、そのうち洗練され機能的になるにつれ、世界に認知・賞賛されていった経緯を思い出す感じです。
今の私たちはどうでしょう。「こうあるべき」にとらわれすぎてはいないでしょうか。読み終えて私も、心を新たにしました。(byこゆき)