人生ベストテン
40歳・シングルの鳩子。寝付けない夜は、自分の人生におきた出来事のベストテンを思い浮かべて過ごしています。彼女もまた、今まで一度も同窓会に行こうと思ったことがありませんでした。今回初めて中学の同窓会に行こうと決めた理由は、自ら告白して夏休みの3週間だけ付き合った男の子の名前を案内状に見つけたから。25年ぶりの再会に、頭のてっぺんから爪先まで新品で身を包み、4バージョンの自己紹介を用意して会場へ向かうのですが…。
余分な脂肪や、しがらみや、納税義務なんかが後からくっついてきただけで、あのときと変わらない「自分年齢」というものが、やっぱり誰しもあるようです。
読み進むほどに深まる親近感だけにとどまらず、痛みを伴う現実を突きつけたうえで、その先にある女性ならではの生命力を感じさせてくれるこの作家の作品にはいつも勇気づけられます。これって、女友達の魅力そのものですね。
絶えず女性にエールを送り続けてくれる角田光代さん。もしどこかで偶然お目にかかれたならば駆け寄って、無言のまま強引に深い握手を求めてしまいそうです。(byまめたま)