本書の著者、小竹雅子さんは「市民福祉情報オフィス・ハスカップ」の代表として、介護にかかわるあらゆる人向けに有益な情報をメルマガ形式で発信し続けている方です。そんな小竹さんが丁寧に介護保険制度を解説した本書は、利用者目線が一貫してぶれていない、たいへんわかりやすい構成になっています。「急に介護が始まってしまった！」という人、今さらちょっと聞きにくいこと（例えば、「デイサービス」と「デイケア」の違いって何？といったような）がある人は、ぜひ手に取ってみてください。
　それにしても、介護保険制度が始まって10年。制度発足当初は、利用者と事業者の契約に基づく新たな介護のあり方になると大いに期待されました。実際のところ、介護を必要とする人の暮らしはどう変わったのでしょうか。それを取り巻く環境はどう整備されたのでしょうか。本書は上記のように、制度解説の良質な入門書としても読めますが、実は介護にかかわる動向をつぶさに見てきた小竹さんならではの視点で、「介護の今」を検証する本としても面白い１冊です。（byこゆき）