ハツカネズミと人間
そしてなにより、彼ら2人には夢がある。いつの日か、金をあわせて小さな家と2エーカーの土地を持ち、1頭のめウシと何頭かのブタを飼う。そして、土地のくれるいちばんいいものを食って、暮らす。そこでレニーは大好きなウサギの世話をする。彼らはそんな夢を心の支えに働く。
しかし、レニーが起こしてしまった事件がきっかけで、夢は悲しい結末を迎えてしまう。その現実に直面したときの、ジョージのことば、「初めの初めからわかってたんだよ。決してできないとわかってたような気がする。あいつがあんまりその話を聞きたがるもんだから、できるような気に俺もなっていたんだ」
その言葉は、決してレニーを非難したものではなく、自分を弁護したものでもなく、一緒に夢をもって働けたことに対する感謝の気持ちのような気がする。初めからできないとわかっていても、2人の間に強い絆があったからこそ夢を支えにでき、そしてその夢があったからこそ幸せだったんだと。だからこそジョージは最後、自らの手でけじめをつけたのだと思う。
今、夢を持って働くことは困難な時代かもしれない。それでも私たちもなにかを心の支えに働いていきたいものだ、そんなふうに思わせてくれる。(byうしお)